長崎電気軌道201/211/300形
概要
201形は長崎電気軌道が1950年に製造した電車である。5両(201・203・205・207・209号)が投入された。全車両が日立製作所で製造され、奇数番号を付与することで、同年に日本車輌製造で製造された202形と区分している。
211形は長崎電気軌道が1951年に製造した電車である。6両が投入された。前年に製造された201形に準じているが、走行機器のミーカーが異なることから、211形に区分された。
300形は長崎電気軌道が1953年から製造した電車である。1954年にかけて10両が投入された。211形を改良した増備車である。
外観の特徴
201形と211形は前照灯が屋根上にあり、行先表示器が左側の前面窓上に配置された(以下、前期形)。300形は前照灯が前面窓下、行先表示器が中央の前面窓上にあり、左側の前面窓上に通風口が設置された(中期形)。300形の310号のみ左右の前面窓上に通風口があり、中央の前面窓は押出窓が採用された(後期形)。
201形と211形の落成時の塗装は濃淡の緑色に側扉や窓枠がニス塗り(以下、●初期色)であった。300形は緑とクリームのツートンの前面にV字形の塗分け(●旧塗装)が採用され、201形と211形も順次統一された。1960年代には全車両が緑とクリーム色のツートン(●新塗装)に変更された。1969年から1978年にかけてワンマン化改造が施され、塗装は緑とクリーム色のツートンに赤帯(●赤帯)に変更された。1998年頃以降は赤帯が省略され、再び落成時の塗装が採用された。
改造による変化として、ワンマン化改造時に前面窓上部が固定化され、201形と211形は前照灯と行先表示器の移設、300形は通風口を撤去し、各形式の外観が統一された(改造形)。1984年から1987年にかけて冷房化改造(冷房)が施され、同時に行先表示器の大型化、雨樋の移設などの車体更新(更新)が実施された。
2017年に310号がリニューアル車両「みなと」に改造され、車体塗装が青色に金帯(●みなと)に変更された。2020年には207号がイベント車両「あかり」に改造され、車体塗装が赤と紺に金帯(●あかり)に変更された。
バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 前期形/●初期色 |
A02 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 |
A03 | 消滅 | 前期形/●新塗装 |
B01 | 消滅 | 中期形/●旧塗装 |
B02 | 消滅 | 中期形/●新塗装 |
C01 | 消滅 | 後期形/●新塗装 |
D01 | 消滅 | 改造形/●赤帯 |
D02 | 消滅 | 改造形/●赤帯 [冷房][更新] |
D11 | 現存 | 改造形/●新塗装 [冷房][更新] |
D21 | 現存 | 改造形/●みなと [冷房][更新] |
D31 | 現存 | 改造形/●あかり [冷房][更新] |
各バリエーション解説
B01 | 中期形/●旧塗装 |
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300形301~309号の落成時の姿。前照灯が前面窓下、行先表示器が中央の前面窓上にあり、左側の前面窓上に通風口が設置された。1960年代に塗装が変更され、この姿は消滅した。
D01 | 改造形/●赤帯 |
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ワンマン化改造後の姿。1969年から1979年にかけてワンマン化改造が施され、塗装変更および前面窓上部が固定化、201形と211形は前照灯と行先表示器の移設、300形は通風口を撤去し、各形式の外観が統一された。1987年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。
D02 | 改造形/●赤帯 [冷房][更新] |
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冷房改造および車体更新後の姿。1984年から1987年にかけて冷房化改造と車体更新が施された。改造内容は行先表示器の大型化、雨樋の移設などである。1998年頃以降に赤帯が省略され、この姿は消滅した。
D21 | 改造形/●みなと [冷房][更新] |
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リニューアル車両「みなと」の姿。2017年に310号が改造され、車体塗装が青色と金帯に変更された。現在もこの姿で使用されている。