伊予鉄道モハ50形

伊予鉄道モハ50形

《最終更新》 2023年6月26日

概要

モハ50形は伊予鉄道が1951年から製造した松山市内線の電車である。1965年にかけて28両(51~78号)が投入された。他社から譲受した車両が存在し、1967年に呉市交通局1001形の3両(1001~1003号)、1971年に南海電気鉄道和歌山軌道線321形の1両(81号)が編入された。


外観の特徴

製造時期による差異がある。1951年と1953年に製造された51~55号(以下、前期形A)は落成時は乗降扉が前後配置であった。1954年に製造された56~58号(前期形B)は乗降扉が前中配置に変更、および側窓の上部がHゴム支持で固定化された。1957年に製造された59~61号(前期形C)は前面中央窓が大型化された。1960年に製造された62~64号(後期形A)は側面にビードつきの軽量車体構造が採用され、前扉は2枚引き戸に変更された。1962年に製造された65~69号(後期形B)は前扉が1枚引き戸に変更された。1963年から1965年に製造された70~78号(後期形C)は側面のビードが廃止された。1967年に呉市交通局1001形を編入した1001~1003号(編入形A)は前期形Aに準じた車体であるが、灯具の配置や集電装置の非設置側にも足掛がある点が特徴である。1971年に南海電気鉄道321形を編入した81号(編入形B)は車体形状が異なり、前面が絞られた形状の車体を有する。

落成時の塗装はマルーン色とクリーム色のツートン(初期色Ⅰ)であり、のちに前面の曲線塗分けの採用および屋根にマルーン色の追加(初期色Ⅱ)、窓上にもマルーン色の面積が拡大された(初期色Ⅲ)。1964年に製造された74~76号にオレンジ色とクリーム色のツートンカラー(旧塗装Ⅰ)が採用され、1967年にかけて裾帯を前面に延長した塗装(旧塗装Ⅱ)が全車両に普及した。1972年頃には車体裾部がオレンジ色に変更され(旧塗装Ⅲ)、1979年頃には前面に黄帯が追加された(旧塗装Ⅳ)。61号は前面の窓下にも黄帯が追加された(旧塗装Ⅴ)。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色(新塗装)に変更された。

改造による変化として、1969年に51~55号の乗降扉が前中配置に改造された(側扉移設)。1970年から1972年には全車両にワンマン化改造が施され、51~61号は行先表示器が大型化(大型表示器)、1001~1003号は前照灯と尾灯が移設(灯具移設)された。1981年から1984年には冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された(冷房)。2021年以降は行先表示器がフルカラーLED式(FC-LED)に変更され、51号と78号に施工された。


バリエーション一覧

No.
現状
特徴

各バリエーション解説

A01 前期形A/初期色Ⅰ

1951年と1953年に製造された51~55号の落成時の姿。乗降扉が前後配置であった。1955年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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A02 前期形A/初期色Ⅱ

51~55号の1955年頃の塗装変更後の姿。前面の曲線塗分けの採用および屋根にマルーン色が追加された。1960年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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A03 前期形A/初期色Ⅲ

51~55号の1960年頃の塗装変更後の姿。窓上にマルーン色の面積が拡大された。1969年に扉位置が改造され、この姿は消滅した。

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A11 前期形A/旧塗装Ⅱ [側扉移設]

51~55号の扉位置改造後の姿。1969年に乗降扉が前中配置に改造された。塗装はオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年までにワンマン化改造が施され、この姿は消滅した。

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A12 前期形A/旧塗装Ⅲ [側扉移設][大型表示器]

51~55号のワンマン化改造後の姿。1970年から1972年にワンマン化改造が施され、行先表示器が大型化された。塗装は車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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A13 前期形A/旧塗装Ⅳ [側扉移設][大型表示器]

51~55号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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A14 前期形A/旧塗装Ⅳ [側扉移設][大型表示器][冷房]

51~55号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2019年までに塗装変更または廃車され、この姿は消滅した。

伊予鉄道 53号
伊予鉄道 53号
撮影場所 大手町駅前停留場付近   撮影日 2016年8月
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A21 前期形A/新塗装 [側扉移設][大型表示器][冷房]

51、52、54、55号の2015年頃の塗装変更後の姿。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色に変更された。現在もこの姿で使用されている。

伊予鉄道 51号
伊予鉄道 51号
撮影場所 南堀端停留場付近   撮影日 2020年9月
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A22 前期形A/新塗装 [側扉移設][大型表示器][冷房][FC-LED]

51号の行先表示器LED化後の姿。2021年に行先表示器がフルカラーLED式に変更された。現在もこの姿で使用されている。

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B01 前期形B/初期色Ⅱ

1954年に製造された56~58号の落成時の姿。乗降扉が前中配置に変更、および側窓の上部がHゴム支持で固定化された。1967年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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B11 前期形B/旧塗装Ⅱ

56~58号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年までにワンマン化改造が施され、この姿は消滅した。

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B12 前期形B/旧塗装Ⅱ [大型表示器]

56~58号のワンマン化改造後の姿。1970年からワンマン化改造が施され、行先表示器が大型化された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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B13 前期形B/旧塗装Ⅲ [大型表示器]

56~58号の1972年頃の塗装変更後の姿。車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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B14 前期形B/旧塗装Ⅳ [大型表示器]

56~58号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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B15 前期形B/旧塗装Ⅳ [大型表示器][冷房]

56~58号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2018年までに塗装変更または廃車され、この姿は消滅した。

伊予鉄道 58号
伊予鉄道 58号
撮影場所 大手町駅前停留場付近   撮影日 2016年8月
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B21 前期形B/新塗装 [大型表示器][冷房]

57号の2017年の塗装変更後の姿。オレンジ色の単色に変更された。2020年に廃車され、この姿は消滅した。

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C01 前期形C/初期色Ⅱ

1957年に製造された59~61号の落成時の姿。前面中央窓が大型化された。1967年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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C11 前期形C/旧塗装Ⅱ

59~61号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年までにワンマン化改造が施され、この姿は消滅した。

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C12 前期形C/旧塗装Ⅱ [大型表示器]

59~61号のワンマン化改造後の姿。1970年からワンマン化改造が施され、行先表示器が大型化された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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C13 前期形C/旧塗装Ⅲ [大型表示器]

59~61号の1972年頃の塗装変更後の姿。車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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C14 前期形C/旧塗装Ⅳ [大型表示器]

59~60号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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C15 前期形C/旧塗装Ⅳ [大型表示器][冷房]

59~61号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2019年までに廃車され、この姿は消滅した。

伊予鉄道 61号
伊予鉄道 61号
撮影場所 大手町駅前停留場付近   撮影日 2016年8月
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C16 前期形C/旧塗装Ⅴ [大型表示器]

61号の1979年頃の塗装変更後の姿。61号のみ前面に2本の黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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C17 前期形C/旧塗装Ⅴ [大型表示器][冷房]

61号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。61号のみ前面に2本の黄帯が追加されていた。後に黄帯が通常の1本に変更され、この姿は消滅した。

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D01 後期形A/初期色Ⅲ

1960年に製造された62~64号の落成時の姿。側面にビードつきの軽量車体構造が採用され、前扉は2枚引き戸に変更された。1967年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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D11 後期形A/旧塗装Ⅱ

62~64号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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D12 後期形A/旧塗装Ⅲ

62~64号の1972年頃の塗装変更後の姿。車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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D13 後期形A/旧塗装Ⅳ

62~64号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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D14 後期形A/旧塗装Ⅳ [冷房]

62~64号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2004年までに廃車され、この姿は消滅した。

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E01 後期形B/初期色Ⅲ

1962年に製造された65~69号の落成時の姿。前扉が1枚引き戸に変更された。1967年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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E11 後期形B/旧塗装Ⅱ

65~69号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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E12 後期形B/旧塗装Ⅲ

65~69号の1972年頃の塗装変更後の姿。車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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E13 後期形B/旧塗装Ⅳ

65~69号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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E14 後期形B/旧塗装Ⅳ [冷房]

65~69号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2018年までに塗装変更または廃車され、この姿は消滅した。

伊予鉄道 66号
伊予鉄道 66号
撮影場所 古町駅付近   撮影日 2015年8月
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E21 後期形B/新塗装 [冷房]

66、68、69号の2015年頃の塗装変更後の姿。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色に変更された。現在もこの姿で使用されている。

伊予鉄道 69号
伊予鉄道 69号
撮影場所 南堀端停留場付近   撮影日 2020年9月
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F01 後期形C/初期色Ⅲ

1963年に製造された70~73号の落成時の姿。側面のビードが廃止された。1967年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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F11 後期形C/旧塗装Ⅰ

1964年から1965年に製造された74~78号の落成時の姿。オレンジ色とクリーム色のツートンカラーが採用された。裾帯が前面に回り込んでいない点が特徴であった。後に裾帯が前面に延長され、この姿は消滅した。

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F12 後期形C/旧塗装Ⅱ

70~78号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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F13 後期形C/旧塗装Ⅲ

70~78号の1972年頃の塗装変更後の姿。車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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F14 後期形C/旧塗装Ⅳ

70~78号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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F15 後期形C/旧塗装Ⅳ [冷房]

70~78号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2018年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

伊予鉄道 73号
伊予鉄道 73号
撮影場所 JR松山駅前停留場   撮影日 2015年8月
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F21 後期形C/新塗装 [冷房]

70~78号の2015年頃の塗装変更後の姿。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色に変更された。現在もこの姿で使用されている。

伊予鉄道 73号
伊予鉄道 73号
撮影場所 県庁前停留場付近   撮影日 2020年9月
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F22 後期形C/新塗装 [冷房][FC-LED]

78号の行先表示器LED化後の姿。2022年に行先表示器がフルカラーLED式に変更された。現在もこの姿で使用されている。

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G01 編入形A/旧塗装Ⅱ

1967年に呉市交通局1001形を編入した1001~1003号の姿。前期形Aに準じた車体であるが、灯具の配置や集電装置の非設置側にも足掛がある点が特徴である。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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G02 編入形A/旧塗装Ⅱ [灯具移設]

1001~1003号のワンマン化改造後の姿。1970年から1972年にワンマン化改造が施され、前照灯と尾灯が移設された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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G03 編入形A/旧塗装Ⅲ [灯具移設]

1001~1003号の1972年頃の塗装変更後の姿。車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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G04 編入形A/旧塗装Ⅳ [灯具移設]

1001~1003号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1984年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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G05 編入形A/旧塗装Ⅳ [灯具移設][冷房]

1001~1003号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2004年までに廃車され、この姿は消滅した。

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H01 編入形B/旧塗装Ⅱ

1971年に南海電気鉄道321形を編入した81号の姿。車体形状が異なり、前面が絞られた形状の車体を有する。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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H02 編入形B/旧塗装Ⅲ

81号の1972年頃の塗装変更後の姿。車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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H03 編入形B/旧塗装Ⅳ

81号の1979年頃の塗装変更後の姿。前面に黄帯が追加された。1987年に廃車され、この姿は消滅した。

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