伊予鉄道モハ50形
概要
モハ50形は伊予鉄道が1951年から製造した松山市内線の電車である。1965年にかけて28両(51~78号)が投入された。他社から譲受した車両が存在し、1967年に呉市交通局1001形の3両(1001~1003号)、1971年に南海電気鉄道和歌山軌道線321形の1両(81号)が編入された。
外観の特徴
製造時期による差異がある。1951年と1953年に製造された51~55号(以下、前期形A)は落成時は乗降扉が前後配置であった。1954年に製造された56~58号(前期形B)は乗降扉が前中配置に変更、および側窓の上部がHゴム支持で固定化された。1957年に製造された59~61号(前期形C)は前面中央窓が大型化された。1960年に製造された62~64号(後期形A)は側面にビードつきの軽量車体構造が採用され、前扉は2枚引き戸に変更された。1962年に製造された65~69号(後期形B)は前扉が1枚引き戸に変更された。1963年から1965年に製造された70~78号(後期形C)は側面のビードが廃止された。1967年に呉市交通局1001形を編入した1001~1003号(編入形A)は前期形Aに準じた車体であるが、灯具の配置や集電装置の非設置側にも足掛がある点が特徴である。1971年に南海電気鉄道321形を編入した81号(編入形B)は車体形状が異なり、前面が絞られた形状の車体を有する。
落成時の塗装はマルーン色とクリーム色のツートン(●初期色Ⅰ)であり、のちに前面の曲線塗分けの採用および屋根にマルーン色の追加(●初期色Ⅱ)、窓上にもマルーン色の面積が拡大された(●初期色Ⅲ)。1964年に製造された74~76号にオレンジ色とクリーム色のツートンカラー(●旧塗装Ⅰ)が採用され、1967年にかけて裾帯を前面に延長した塗装(●旧塗装Ⅱ)が全車両に普及した。1972年頃には車体裾部がオレンジ色に変更され(●旧塗装Ⅲ)、1979年頃には前面に黄帯が追加された(●旧塗装Ⅳ)。61号は前面の窓下にも黄帯が追加された(●旧塗装Ⅴ)。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色(●新塗装)に変更された。
改造による変化として、1969年に51~55号の乗降扉が前中配置に改造された(側扉移設)。1970年から1972年には全車両にワンマン化改造が施され、51~61号は行先表示器が大型化(大型表示器)、1001~1003号は前照灯と尾灯が移設(灯具移設)された。1981年から1984年には冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された(冷房)。2021年以降は51、77、78号の行先表示器がフルカラーLED式(FC-LED)に変更された。
バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 前期形A/●初期色Ⅰ |
A02 | 消滅 | 前期形A/●初期色Ⅱ |
A03 | 消滅 | 前期形A/●初期色Ⅲ |
A11 | 消滅 | 前期形A/●旧塗装Ⅱ [側扉移設] |
A12 | 消滅 | 前期形A/●旧塗装Ⅲ [側扉移設][大型表示器] |
A13 | 消滅 | 前期形A/●旧塗装Ⅳ [側扉移設][大型表示器] |
A14 | 消滅 | 前期形A/●旧塗装Ⅳ [側扉移設][大型表示器][冷房] |
A21 | 現存 | 前期形A/●新塗装 [側扉移設][大型表示器][冷房] |
A22 | 現存 | 前期形A/●新塗装 [側扉移設][大型表示器][冷房][FC-LED] |
B01 | 消滅 | 前期形B/●初期色Ⅱ |
B11 | 消滅 | 前期形B/●旧塗装Ⅱ |
B12 | 消滅 | 前期形B/●旧塗装Ⅱ [大型表示器] |
B13 | 消滅 | 前期形B/●旧塗装Ⅲ [大型表示器] |
B14 | 消滅 | 前期形B/●旧塗装Ⅳ [大型表示器] |
B15 | 消滅 | 前期形B/●旧塗装Ⅳ [大型表示器][冷房] |
B21 | 消滅 | 前期形B/●新塗装 [大型表示器][冷房] |
C01 | 消滅 | 前期形C/●初期色Ⅱ |
C11 | 消滅 | 前期形C/●旧塗装Ⅱ |
C12 | 消滅 | 前期形C/●旧塗装Ⅱ [大型表示器] |
C13 | 消滅 | 前期形C/●旧塗装Ⅲ [大型表示器] |
C14 | 消滅 | 前期形C/●旧塗装Ⅳ [大型表示器] |
C15 | 消滅 | 前期形C/●旧塗装Ⅳ [大型表示器][冷房] |
C16 | 消滅 | 前期形C/●旧塗装Ⅴ [大型表示器] |
C17 | 消滅 | 前期形C/●旧塗装Ⅴ [大型表示器][冷房] |
D01 | 消滅 | 後期形A/●初期色Ⅲ |
D11 | 消滅 | 後期形A/●旧塗装Ⅱ |
D12 | 消滅 | 後期形A/●旧塗装Ⅲ |
D13 | 消滅 | 後期形A/●旧塗装Ⅳ |
D14 | 消滅 | 後期形A/●旧塗装Ⅳ [冷房] |
E01 | 消滅 | 後期形B/●初期色Ⅲ |
E11 | 消滅 | 後期形B/●旧塗装Ⅱ |
E12 | 消滅 | 後期形B/●旧塗装Ⅲ |
E13 | 消滅 | 後期形B/●旧塗装Ⅳ |
E14 | 消滅 | 後期形B/●旧塗装Ⅳ [冷房] |
E21 | 現存 | 後期形B/●新塗装 [冷房] |
F01 | 消滅 | 後期形C/●初期色Ⅲ |
F11 | 消滅 | 後期形C/●旧塗装Ⅰ |
F12 | 消滅 | 後期形C/●旧塗装Ⅱ |
F13 | 消滅 | 後期形C/●旧塗装Ⅲ |
F14 | 消滅 | 後期形C/●旧塗装Ⅳ |
F15 | 消滅 | 後期形C/●旧塗装Ⅳ [冷房] |
F21 | 現存 | 後期形C/●新塗装 [冷房] |
F22 | 現存 | 後期形C/●新塗装 [冷房][FC-LED] |
G01 | 消滅 | 編入形A/●旧塗装Ⅱ |
G02 | 消滅 | 編入形A/●旧塗装Ⅱ [灯具移設] |
G03 | 消滅 | 編入形A/●旧塗装Ⅲ [灯具移設] |
G04 | 消滅 | 編入形A/●旧塗装Ⅳ [灯具移設] |
G05 | 消滅 | 編入形A/●旧塗装Ⅳ [灯具移設][冷房] |
H01 | 消滅 | 編入形B/●旧塗装Ⅱ |
H02 | 消滅 | 編入形B/●旧塗装Ⅲ |
H03 | 消滅 | 編入形B/●旧塗装Ⅳ |
各バリエーション解説
A11 | 前期形A/●旧塗装Ⅱ [側扉移設] |
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51~55号の扉位置改造後の姿。1969年に乗降扉が前中配置に改造された。塗装はオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年までにワンマン化改造が施され、この姿は消滅した。
A12 | 前期形A/●旧塗装Ⅲ [側扉移設][大型表示器] |
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51~55号のワンマン化改造後の姿。1970年から1972年にワンマン化改造が施され、行先表示器が大型化された。塗装は車体裾部がオレンジ色に変更された。1979年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。
A14 | 前期形A/●旧塗装Ⅳ [側扉移設][大型表示器][冷房] |
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51~55号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2019年までに塗装変更または廃車され、この姿は消滅した。
A21 | 前期形A/●新塗装 [側扉移設][大型表示器][冷房] |
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51、52、54、55号の2015年頃の塗装変更後の姿。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色に変更された。現在もこの姿で使用されている。
A22 | 前期形A/●新塗装 [側扉移設][大型表示器][冷房][FC-LED] |
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51号の行先表示器LED化後の姿。2021年に行先表示器がフルカラーLED式に変更された。現在もこの姿で使用されている。
B11 | 前期形B/●旧塗装Ⅱ |
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56~58号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年までにワンマン化改造が施され、この姿は消滅した。
B15 | 前期形B/●旧塗装Ⅳ [大型表示器][冷房] |
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56~58号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2018年までに塗装変更または廃車され、この姿は消滅した。
C11 | 前期形C/●旧塗装Ⅱ |
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59~61号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年までにワンマン化改造が施され、この姿は消滅した。
C15 | 前期形C/●旧塗装Ⅳ [大型表示器][冷房] |
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59~61号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2019年までに廃車され、この姿は消滅した。
C17 | 前期形C/●旧塗装Ⅴ [大型表示器][冷房] |
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61号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。61号のみ前面に2本の黄帯が追加されていた。後に黄帯が通常の1本に変更され、この姿は消滅した。
D11 | 後期形A/●旧塗装Ⅱ |
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62~64号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。
E11 | 後期形B/●旧塗装Ⅱ |
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65~69号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。
E14 | 後期形B/●旧塗装Ⅳ [冷房] |
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65~69号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2018年までに塗装変更または廃車され、この姿は消滅した。
E21 | 後期形B/●新塗装 [冷房] |
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66、68、69号の2015年頃の塗装変更後の姿。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色に変更された。現在もこの姿で使用されている。
F11 | 後期形C/●旧塗装Ⅰ |
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1964年から1965年に製造された74~78号の落成時の姿。オレンジ色とクリーム色のツートンカラーが採用された。裾帯が前面に回り込んでいない点が特徴であった。後に裾帯が前面に延長され、この姿は消滅した。
F12 | 後期形C/●旧塗装Ⅱ |
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70~78号の1964年頃の塗装変更後の姿。1964年から1967年にかけてオレンジ色とクリーム色のツートンカラーに変更された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。
F15 | 後期形C/●旧塗装Ⅳ [冷房] |
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70~78号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2018年までに塗装変更され、この姿は消滅した。
F21 | 後期形C/●新塗装 [冷房] |
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70~78号の2015年頃の塗装変更後の姿。2015年から2019年にかけてオレンジ色の単色に変更された。現在もこの姿で使用されている。
F22 | 後期形C/●新塗装 [冷房][FC-LED] |
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77・78号の行先表示器LED化後の姿。2022年に行先表示器がフルカラーLED式に変更された。現在もこの姿で使用されている。
G01 | 編入形A/●旧塗装Ⅱ |
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1967年に呉市交通局1001形を編入した1001~1003号の姿。前期形Aに準じた車体であるが、灯具の配置や集電装置の非設置側にも足掛がある点が特徴である。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。
G02 | 編入形A/●旧塗装Ⅱ [灯具移設] |
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1001~1003号のワンマン化改造後の姿。1970年から1972年にワンマン化改造が施され、前照灯と尾灯が移設された。1972年頃に塗装が変更され、この姿は消滅した。
G05 | 編入形A/●旧塗装Ⅳ [灯具移設][冷房] |
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1001~1003号の冷房化改造後の姿。1981年から1984年にかけて冷房化改造が施され、屋根上に冷房装置が搭載された。2004年までに廃車され、この姿は消滅した。