黒部鉄道ED形/黒部峡谷鉄道EDM/EDS/EDR形
概要
ED形は日本電力が1934年から製造した電気機関車である。黒部鉄道および黒部峡谷鉄道が増備し、1998年にかけて21両が投入された。1990年以降はギア比を変更したEDM形の2両が投入され、1994年にかけて9両が改造された。1993年以降は高速化対応によりEDR形に区分され、新造車1両と改造車11両が投入された。
外観の特徴
1934年に製造されたED8~ED11(以下、前期形A)は凸型で角張ったリベット組付の車体であり、前面窓が引違い窓である。1957年に製造されたED13(前期形B)は凸型で丸みがある車体で、前面窓が2枚窓である。1958年に製造されたED15~ED17(前期形C)は前面窓が3枚窓の凸型車体で、前照灯がボンネットの前部に配置された。
1966年から1990年に製造されたED18、ED20~ED30、EDM31(後期形A)は箱型車体で、車体から突出した2枚窓の前面窓が採用された。1968年に製造されたED19(後期形B)は箱型車体で、前面窓が車体に平滑である。1991年と1994年に製造されたEDM32、EDR33(後期形C)は車体が延長され、前面窓が平滑かつ1枚窓になった。
改造による変化として、1957年にED11の車体が代替され、凸型で丸みがあり、前面窓が引違い窓の車体が採用された(前期形D)。1980年代にはED8~ED10、ED13の前照灯が前面窓の左右からボンネットの前部に移設された(前照灯移設)。1990年頃以降には後期形の前面窓が1枚窓に改造された(前面窓改造)。1993年にはED17がEDR17に改造され、新製された後期形Cに準じた車体に代替された。余剰となった車体はED13に転用され、EDS13に改番された。
塗装は全車両がオレンジ色(●標準色)である。
バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 前期形A/●標準色 |
A02 | 現存 | 前期形A/●標準色 [前照灯移設] |
A11 | 消滅 | 前期形B/●標準色 |
A12 | 現存 | 前期形B/●標準色 [前照灯移設] |
A21 | 現存 | 前期形C/●標準色 |
A31 | 現存 | 前期形D/●標準色 |
B01 | 消滅 | 後期形A/●標準色 |
B02 | 現存 | 後期形A/●標準色 [前面窓改造] |
B11 | 消滅 | 後期形B/●標準色 |
B12 | 現存 | 後期形B/●標準色 [前面窓改造] |
B21 | 現存 | 後期形C/●標準色 |
各バリエーション解説
A02 | 前期形A/●標準色 [前照灯移設] |
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ED8~ED10の前照灯移設後の姿。1980年代に前照灯がボンネットの前部に移設された。現在もこの姿で使用されている。廃車されたED8は黒部宇奈月温泉駅前に保存されている。
A12 | 前期形B/●標準色 [前照灯移設] |
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ED13の前照灯移設後の姿。1980年代に前照灯がボンネットの前部に移設された。1993年にED17の車体を流用したEDS13に改造され、現在はED13の車体が黒部市内に保存されている。
A21 | 前期形C/●標準色 |
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1958年に製造されたED15~ED17の姿。前面窓が3枚窓の凸型車体で、前照灯がボンネットの前部に配置された。1974年にED15、ED16がEH形に改造、1993年にED17がEDR17として車体代替され、現在はED17の車体を流用したEDS13がこの姿で使用されている。
A31 | 前期形D/●標準色 |
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1957年に車体を代替したED11の姿。凸型で丸みがあり、前面窓が引違い窓の車体が採用された。2013年に廃車され、宇奈月駅前に保存されている。
B01 | 後期形A/●標準色 |
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1966年から1990年に製造されたED18、ED20~ED30、EDM31の姿。箱型車体で、車体から突出した2枚窓の前面窓が採用された。1990年頃以降に前面窓が改造され、この姿は消滅した。
B02 | 後期形A/●標準色 [前面窓改造] |
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ED18、ED20~ED30、EDM31の前面窓改造後の姿。1990年頃以降に前面窓が1枚窓に改造された。現在もこの姿で使用されている。
B21 | 後期形C/●標準色 |
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1991年と1994年に製造されたEDM32、EDR33の姿。車体が延長され、前面窓が平滑かつ1枚窓である。1993年にED17がEDR17に改造され、車体新製によりこの姿になった。現在もこの姿で使用されている。