西日本鉄道1001形

西日本鉄道1001/1201/1301形/筑豊電気鉄道2000形/熊本市交通局5000形

《最終更新》 2022年11月27日

概要

1001形は西日本鉄道が1954年から製造した電車である。1957年にかけて福岡市内線に15両が投入された。1975年までに廃車され、熊本市交通局に譲渡された。

1201形は西日本鉄道が1962年から製造した電車である。1963年にかけて福岡市内線に9両が投入された。1975年までに廃車され、筑豊電気鉄道と広島電鉄に譲渡された。

1301形は西日本鉄道が1964年に製造した電車である。福岡市内線に6両が投入された。1975年までに廃車され、筑豊電気鉄道と広島電鉄に譲渡された。

筑豊電気鉄道2000形は西日本鉄道福岡市内線の1201・1301形と北九州線の1000形を譲受した車両である。1976年から1980年にかけて7両が投入された。

北九州線1000形と福岡市内線1001形から改造した中間車を組み込み、3連接車として使用された。2013年から廃車が生じ、2022年に運行を終了した。

熊本市交通局5000形は西日本鉄道福岡市内線の1001形を譲受した車両である。1976年から1979年にかけて4両が投入された。ラッシュ時の運行が主であり、現在は1両のみが運行される。


外観の特徴

1954年に製造された1001~1005号車(以下、前期形)は前面小窓が押出式であり、尾灯の位置が高い点が特徴である。1957年に製造された1006~1015号車(以下、中期形)は前面小窓が下降式に変更され、前面小窓の下部が角形になった。また、尾灯の位置が下方に変更された。1962年以降に製造された1201~1209・1301~1304号車(以下、後期形)は前面中央窓下部に通風口が設置され、屋根上の通風器も変更された。

塗装は全車両がマルーンとベージュのツートン(標準色)である。改造による変化として、1960年頃に前期形の前面小窓が下降式に改造され、桟が太く、隅が角形のものに変更された(前面小窓改造)。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、前面中央窓の上部を縮小して設置された(ワイパー上)。後に施工された車両は前面窓の下部に設置された(ワイパー下)。

筑豊電気鉄道2001~2005号車は後期形の福岡市内線1301~1304・1205号車を改造した車両であり、導入当初は福岡市内線時代の姿のままで使用された。1977年に3連接車に改造され、塗装が黄色に赤帯(黄電色)に変更された。2005号車に組み込まれた2005Cは中期形の1013号車が種車であり、通風器の形状が異なっていた。

筑豊電気鉄道2006・2007号車は北九州線1062~1064号車を改造した車両であり、大型の前面行先表示器が特徴である(増備形)。導入時の改造で塗装変更と前面ライトケースの変更が施された。

1983年頃には2001~2005号車のライトケースが変更された(灯具改造)。1984年から1985年にかけて、全編成に冷房化改造が施され、屋根上に5台の冷房装置(分散冷房)が搭載された。1990年から1998年にかけて更新工事が施され、側窓と前面小窓がアルミサッシに変更された(窓更新)。2006年頃から2001~2005号車の前面中央窓のワイパーが下方に移設され、窓の位置が上方に変更された(ワイパー移設)。

2007年から2009年にかけて、車両ごとに異なる塗装に変更され、2001号車が紫色、2002号車が青色、2003号車が水色、2004号車が緑色、2005号車が黄色、2006号車が橙色、2006号車が赤色になった。2014年に2003号車が水色から青色に変更され、2018年には2003号車に黄電色と標準色の塗装が片面ずつ施された。

熊本市交通局5000形は中期形の福岡市内線1001形を改造した車両であり、導入時に塗装が黄色をベースに水色と赤帯(熊本色Ⅰ)に変更された。1979年に冷房化改造が施され、屋根上に1台の冷房装置が設置された(集中冷房)。1984年頃に白と緑色の塗装(熊本色Ⅱ)に変更され、1990年頃には5010・5011号車が白をベースに赤とオレンジ色の帯(熊本色Ⅲ)、1992年頃には5014・5015号車が緑と白に赤帯(熊本色Ⅳ)になった。2000年頃には5011・5015号車が白をベースに扉部が緑色(熊本色Ⅴ)になり、2002年に5014号車が福岡市内線時代の標準色に変更された。


バリエーション一覧

No.
現状
特徴

バリエーション解説

A01 前期形/標準色

前期形の落成時の姿。1954年に製造された1001~1005号車は、前面小窓が押出式であり、尾灯の位置が高い。1960年頃に前面小窓が下降式に改造され、この姿は消滅した。

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A02 前期形/標準色 [前面小窓改造]

前期形の前面小窓改造後の姿。1960年頃に前面小窓が下降式に改造され、桟が太く、隅が角形のものに変更された。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、この姿は消滅した。

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A03 前期形/標準色 [前面小窓改造][ワイパー上]

前期形のワイパー改造後の姿。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、前面中央窓の上部が縮小された。福岡市内線の廃止によって1975年までに廃車され、この姿は消滅した。

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B01 中期形/標準色

中期形の落成時の姿。1957年に製造された1006~1015号車は、前面小窓が下降式に変更され、前面小窓の下部が角形になった。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、この姿は消滅した。

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B02 中期形/標準色 [ワイパー上]

中期形のワイパー改造後の姿。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、前面中央窓の上部が縮小された。福岡市内線の廃止によって1975年までに廃車され、この姿は消滅した。廃車後は一部が熊本市交通局と筑豊電気鉄道に譲渡された。

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B03 中期形/標準色 [ワイパー上][集中冷房]

熊本市交通局5014号車の姿。2002年に福岡市内線の塗装が再現された。屋根上には集中冷房装置が搭載されている。現在もこの姿で使用されている。

熊本市交通局 5014号車
熊本市交通局 5014号車
撮影場所 本妙寺入口停留場付近   撮影日 2021年5月
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B04 中期形/標準色 [ワイパー下]

中期形のワイパー改造後の姿。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、後期に施工された車両は前面中央窓の下部が縮小された。福岡市内線の廃止によって1975年までに廃車され、この姿は消滅した。

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B11 中期形/熊本色Ⅰ [ワイパー上]

熊本市交通局5000形の導入時の姿。導入時に塗装変更が施された。1979年に冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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B12 中期形/熊本色Ⅰ [ワイパー上][集中冷房]

熊本市交通局5000形の冷房改造後の姿。1979年に冷房化改造が施され、屋根上に集中冷房装置が搭載された。1984年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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B13 中期形/熊本色Ⅱ [ワイパー上][集中冷房]

熊本市交通局5000形の1980年代後半の姿。1984年頃に全車両の塗装が変更された。1992年頃までに塗装が変更され、この姿は消滅した。

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B14 中期形/熊本色Ⅲ [ワイパー上][集中冷房]

熊本市交通局5010・5011号車の1990年代の姿。1990年頃に5010・5011号車の塗装が変更された。1999年に5010号車が廃車され、2000年頃に5011号車が塗装変更され、この姿は消滅した。

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B15 中期形/熊本色Ⅳ [ワイパー上][集中冷房]

熊本市交通局5014・5015号車の1990年代の姿。1992年頃に5014・5015号車の塗装が変更された。2002年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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B16 中期形/熊本色Ⅴ [ワイパー上][集中冷房]

熊本市交通局5011・5015号車の2000年代の姿。2000年頃に5011・5015号車の塗装が変更された。2009年に廃車され、この姿は消滅した。

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B21 中期形/黄電色 ※中間車のみ

筑豊電気鉄道2005号車の2005Cの姿。2005Cは中期形の1013号車が種車であり、他の2000形と比べて通風器が異なっていた。1985年までに冷房化改造によって通風器が撤去され、この姿は消滅した。

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C01 後期形/標準色

後期形の落成時の姿。1962年以降に製造された1201~1209・1301~1304号車は前面中央窓下部に通風口が設置され、屋根上の通風器も変更された。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、この姿は消滅した。

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C02 後期形/標準色 [ワイパー上]

後期形のワイパー改造後の姿。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、前面中央窓の上部が縮小された。福岡市内線の廃止によって1975年までに廃車され、筑豊電気鉄道と広島電鉄に譲渡された。筑豊電気鉄道2001~2005号車の導入当初はこの姿のまま使用された。1977年にかけて3連接化改造と塗装変更が施され、この姿は消滅した。

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C03 後期形/標準色 [ワイパー下]

後期形のワイパー改造後の姿。1970年頃にワイパーが自動式に改造され、後期に施工された車両は前面中央窓の下部が縮小された。福岡市内線の廃止によって1975年までに廃車され、この姿は消滅した。廃車後は広島電鉄に譲渡された。

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C04 後期形/標準色 [ワイパー移設][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2003号車の姿。2018年に福岡市内線および導入当初の塗装が施された。この塗装は2003号車の半面のみに施され、逆側の半面は黄電色である。冷房化や窓サッシが更新されている。2022年に運行を終了した。

筑豊電気鉄道 2003号車
筑豊電気鉄道 2003号車
撮影場所 楠橋駅付近   撮影日 2022年9月
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C11 後期形/黄電色 [ワイパー上]

筑豊電気鉄道2001~2005号車の3連接化改造後の姿。1977年に3連接車に改造され、同時に塗装が変更された。1983年頃にライトケースが変更され、この姿は消滅した。

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C12 後期形/黄電色 [ワイパー上][灯具改造]

筑豊電気鉄道2001~2005号車のライトケース改造後の姿。1983年頃にライトケースが改造された。1985年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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C13 後期形/黄電色 [ワイパー上][灯具改造][分散冷房]

筑豊電気鉄道2001~2005号車の冷房化改造後の姿。1984年から1985年にかけて、冷房化改造が施された。1998年にかけて更新工事が施され、この姿は消滅した。

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C14 後期形/黄電色 [ワイパー上][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2001~2005号車の更新改造後の姿。1990年から1998年にかけて更新工事が施され、側窓と前面小窓がアルミサッシに変更された。2006年頃に前面中央窓のワイパーが下方に移設され、この姿は消滅した。

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C15 後期形/黄電色 [ワイパー移設][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2001~2005号車のワイパー移設後の姿。2006年頃に前面中央窓のワイパーが下方に移設された。2009年までに塗装が変更され、この姿は消滅した。2018年に2003号車に黄電色が施され、この姿になった。この塗装は半面のみに施され、逆側の半面は標準色である。2022年に運行を終了した。

筑豊電気鉄道 2003号車
筑豊電気鉄道 2003号車
撮影場所 楠橋駅付近   撮影日 2022年9月
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C21 後期形/紫色 [ワイパー移設][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2001号車の塗装変更後の姿。2007年に紫色に変更された。2013年に廃車され、この姿は消滅した。

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C22 後期形/青色 [ワイパー移設][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2002号車の塗装変更後の姿。2008年に青色に変更された。2022年に廃車され、廃車後は筑前山家駅付近に保存された。2014年から2018年まで、2003号車もこの姿であった。

筑豊電気鉄道 2002号車
筑豊電気鉄道 2002号車
撮影場所 西黒崎駅付近   撮影日 2015年3月
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C23 後期形/水色 [ワイパー移設][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2003号車の塗装変更後の姿。2008年に水色に変更された。2014年に青色に変更され、この姿は消滅した。

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C24 後期形/緑色 [ワイパー移設][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2004号車の塗装変更後の姿。2009年に緑色に変更された。2017年に廃車され、この姿は消滅した。

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C25 後期形/黄色 [ワイパー移設][灯具改造][分散冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2005号車の塗装変更後の姿。2009年に黄色に変更された。2015年に廃車され、この姿は消滅した。

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D01 増備形/黄電色

筑豊電気鉄道2006・2007号車の導入当初の姿。北九州線1062~1064号車を改造した車両であり、大型の前面行先表示器が特徴である。導入時の改造で塗装変更と前面ライトケースの変更が施された。1985年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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D02 増備形/黄電色 [冷房]

筑豊電気鉄道2006・2007号車の冷房化後の姿。1985年までに冷房化改造が施された。1998年にかけて更新工事が施され、この姿は消滅した。

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D03 増備形/黄電色 [冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2006・2007号車の更新改造後の姿。1990年から1998年にかけて更新工事が施され、側窓と前面小窓がアルミサッシに変更された。2008年に塗装が変更され、この姿は消滅した。

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D04 増備形/橙色 [冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2006号車の塗装変更後の姿。2008年に橙色に変更された。2018年に廃車され、この姿は消滅した。

筑豊電気鉄道 2006号車
筑豊電気鉄道 2006号車
撮影場所 西黒崎駅付近   撮影日 2015年3月
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D05 増備形/赤色 [冷房][窓更新]

筑豊電気鉄道2007号車の塗装変更後の姿。2008年に赤色に変更された。2017年に廃車され、この姿は消滅した。

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