近畿日本鉄道8810/1220/5800/6400系ほか
概要
近畿日本鉄道が1981年から1998年に製造した一般型電車であり、裾絞りのある車体が特徴である。仕様の違いにより以下の各形式が存在する。
8810系は近畿日本鉄道が1981年から製造した標準軌仕様の一般型電車である。1982年にかけて奈良線に4両編成7本が投入された。現在は一部編成が大阪線に転属している。
9000系は近畿日本鉄道が1983年に製造した標準軌仕様の一般型電車である。8810系の2連仕様にあたる車両である。奈良線に2両編成8本が投入された。2003年から2006年にかけて全編成が名古屋線に転属した。
9200系は近畿日本鉄道が1983年から製造した標準軌仕様の一般型電車である。8810系の3連仕様にあたる車両である。奈良線に3両編成4本が投入された。1991年に中間車が増備され、以降は4両編成で使用される。一部が大阪線に転出している。
1250系(2代)は近畿日本鉄道が1984年に製造した標準軌仕様の一般型電車である。三菱製VVVFインバータ制御装置を採用した試作車として投入された1250系(初代)の量産車である。大阪線に2両編成6本が投入された。仕様が異なることから試作車が1251系として区分され、量産車は1250系(2代)となった。1987年には番号整理のため1422系に改番された。
1430系は近畿日本鉄道が1990年から製造した標準軌仕様の一般型電車である。三菱製インバータ制御の1422系を全線共通仕様に変更した車両である。1998年にかけて大阪線と名古屋線に2両編成15本が投入された。仕様の違いにより1435系、1436系、1437系、1440系に区分されている。
1620系は近畿日本鉄道が1994年から製造した標準軌仕様の一般型電車である。三菱製インバータ制御の1430系の4・6連仕様にあたる車両である。1996年にかけて大阪線に4両編成5本と6両編成1本が投入された。
1220系は近畿日本鉄道が1987年に製造した標準軌仕様の一般型電車である。日立製インバータ制御装置を搭載した車両であり、その他は1422系に準じている。大阪線に2両編成3本が投入された。
1230系は近畿日本鉄道が1989年から製造した標準軌仕様の一般型電車である。日立製インバータ制御の1220系を全線共通仕様に変更した車両である。1998年にかけて大阪線、奈良線、京都線、名古屋線に2両編成46本が投入された。仕様の違いにより1233系、1240系、1249系、1252系、1253系、1254系、1259系に区分されている。2002年に1020系を組成変更のうえ編入した2両編成1本(1277F)が加わった。
1020系は近畿日本鉄道が1991年から製造した標準軌仕様の一般型電車である。日立製インバータ制御の1230系の4・6連仕様にあたる車両である。1998年にかけて奈良線、京都線に4両編成12本と6両編成3本が投入された。増備中の仕様変更により1026系の区分があり、ワンマン対応化改造により1021系と1031系の区分がある。2002年に組成変更があり、4両編成10本と6両編成4本になった。
5800系は近畿日本鉄道が1987年から製造した標準軌仕様の一般型電車である。三菱製インバータ制御の1620系のL/Cカー仕様の車両である。1998年にかけて大阪線、奈良線、京都線、名古屋線に6両編成7本と4両編成1本が投入された。
6400系は近畿日本鉄道が1986年から製造した狭軌仕様の一般型電車である。日立製インバータ制御の1220系の狭軌仕様の車両である。1993年にかけて南大阪線に2両編成33本が投入された。仕様の違いにより6407系、6413系、6419系、6422系、6432系に区分されている。
6620系は近畿日本鉄道が1993年に製造した狭軌仕様の一般型電車である。6400系の4連仕様の車両である。南大阪線に4両編成7本が投入された。
外観の特徴
1983年以前に製造された車両(以下、前期形)は従来の8000系などに準じた前後で非対称の扉配置であり、乗務員扉の天地が低い。1984年から1989年にかけて製造された車両(中期形)は扉配置が前後対称に変更され、乗務員扉の天地が高く変更された。1989年以降に製造された車両(後期形)は全線共通設計の車体が採用され、車体の裾が下方に拡大された。1998年に製造された車両は側扉上部に水切りが設置された。
1983年以前に落成された車両はマルーン色の単色(●旧塗装)であり、1984年以降の車両は白とマルーン色のツートン(●新塗装Ⅰ)が採用された。塗装変更の過渡期においては、マルーン色の側面帯が太い塗装(●新塗装Ⅱ)も存在した。1999年以降は塗装が簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された(●新塗装Ⅲ)。
2014年に5800系5802Fが奈良線100周年を記念して、大軌デボ1形をイメージした茶色に金帯(●大軌色)に変更された。2019年には1440系1438Fが志摩線開通90周年を記念して、三重交通の緑とクリームのツートン(●三交色)に変更された。
改造による変化として、2001年から2007年にかけて前期形に更新工事が施され、側扉上部に水切りが設置された。2021年には1253系1257Fの行先表示器がフルカラーLED式(FC-LED)に変更された。2023年から中期形および後期形に更新工事が施され、行先表示器のフルカラーLED化、標識灯のLED化(標識灯改造)、前面転落防止幌(転防幌)、側扉上部に水切りが設置された。
バリエーション一覧
No.
|
現状
|
特徴 |
---|---|---|
A01 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 |
A11 | 消滅 | 前期形/●新塗装Ⅰ |
A21 | 消滅 | 前期形/●新塗装Ⅱ |
A31 | 消滅 | 前期形/●新塗装Ⅲ |
A32 | 現存 | 前期形/●新塗装Ⅲ [水切り] |
B01 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅰ |
B11 | 現存 | 中期形/●新塗装Ⅲ |
B12 | 現存 | 中期形/●新塗装Ⅲ [水切り][FC-LED][標識灯改造][転防幌] |
C01 | 消滅 | 後期形/●新塗装Ⅰ |
C02 | 消滅 | 後期形/●新塗装Ⅰ [水切り] |
C11 | 現存 | 後期形/●新塗装Ⅲ |
C12 | 現存 | 後期形/●新塗装Ⅲ [FC-LED] |
C13 | 現存 | 後期形/●新塗装Ⅲ [水切り] |
C14 | 現存 | 後期形/●新塗装Ⅲ [水切り][FC-LED][標識灯改造][転防幌] |
C21 | 現存 | 後期形/●大軌色 |
C22 | 消滅 | 後期形/●三交色 |
各バリエーション解説
A32 | 前期形/●新塗装Ⅲ [水切り] |
---|
前期形の水切り設置後の姿。2001年から2007年にかけて更新工事が施され、側扉に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。
B01 | 中期形/●新塗装Ⅰ |
---|
中期形の落成時の姿。1250系(2代)→1422系、1220系、1230系(1231F、1232F)、6400系(6401F~6406F)が該当する。2000年以降に塗装が変更され、この姿は消滅した。
B12 | 中期形/●新塗装Ⅲ [水切り][FC-LED][標識灯改造][転防幌] |
---|
中期形の更新工事後の姿。2023年から更新工事が施され、行先表示器のフルカラーLED化、標識灯のLED化、前面転落防止幌、側扉上部に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。
C01 | 後期形/●新塗装Ⅰ |
---|
後期形の落成時の姿。1430系、1620系、1230系(1233F~)、1020系(1021F~1033F)、5800系、6400系(6407F~)、9200系(サ9350形)が該当する。2000年以降に塗装が変更され、この姿は消滅した。
C02 | 後期形/●新塗装Ⅰ [水切り] |
---|
1997年に製造された後期形の落成時の姿。1020系(1034F・1035F)、5800系(5804F・5805F・5813F)が該当する。側扉上部に設置された水切りが特徴である。2000年以降に塗装が変更され、この姿は消滅した。
C12 | 後期形/●新塗装Ⅲ [FC-LED] |
---|
1230系(1253系1257F)の行先表示器LED化後の姿。2021年に行先表示器がフルカラーLED式に変更された。現在もこの姿で使用されている。
C13 | 後期形/●新塗装Ⅲ [水切り] |
---|
1997年に製造された後期形の塗装変更後の姿。側扉上部に設置された水切りが特徴である。現在もこの姿で使用されている。
C14 | 後期形/●新塗装Ⅲ [水切り][FC-LED][標識灯改造][転防幌] |
---|
後期形の更新工事後の姿。2023年から更新工事が施され、行先表示器のフルカラーLED化、標識灯のLED化、前面転落防止幌、側扉上部に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。
C21 | 後期形/●大軌色 |
---|
5800系(5802F)の2014年の塗装変更後の姿。奈良線100周年を記念して、大軌デボ1形をイメージした塗装が採用された。現在もこの姿で使用されている。
C22 | 後期形/●三交色 |
---|
1430系(1440系1438F)の2019年の塗装変更後の姿。志摩線開通90周年を記念して、三重交通の緑とクリームのツートンが採用された。2022年に通常の塗装に戻され、この姿は消滅した。