近畿日本鉄道8000/8400/8800/920/1010系
概要
8000系は近畿日本鉄道が1964年から製造した標準軌仕様の一般形電車である。1980年にかけて奈良線に208両が投入された。900系を基本としつつ、当初から昇圧に対応した車両である。
8400系は近畿日本鉄道が1969年から製造した標準軌仕様の一般形電車である。1972年にかけて奈良線に72両が投入された。8000系の走行機器の配置を変更して製造された車両である。
8600系は近畿日本鉄道が1973年から製造した標準軌仕様の一般形電車である。1979年にかけて奈良・京都線に86両が投入された。8400系を基本とした新製冷房車である。
8800系は近畿日本鉄道が1980年に製造した標準軌仕様の一般形電車である。奈良・京都線に4両編成2本が投入された。8600系の制御方式を改良して製造された車両である。
920系は近畿日本鉄道が1972年に製造した標準軌仕様の一般形電車である。京都線に3両編成5本が投入された。新製車体と600系の走行機器を組み合わせて製造された。1987年から1989年にかけて名古屋線に転属し、1010系に改番された。
外観の特徴
1964年から1966年に製造された8000系(以下、前期形)は900系の車体構造を基本としたが、前面窓ガラスの支持方式の変更によるHゴムの廃止、側扉窓ガラスを車内側が平滑に変更された。扇風機を装備し、屋根上には通風器が設置された。1967年から1972年に製造された8000系・8400系・920系(中期形)は送風装置のラインデリアを採用ししたため、車体屋根部分が低く平坦に変更された。また、標識灯は丸形のタイプが採用された。1973年から1979年に製造された8600系(後期形Ⅰ)は新製冷房車として製造され、車体屋根部分が高く丸く変更された。また、落成時から前面表示器とスカートを装備した。1980年に製造された8000系・8800系(後期形Ⅱ)は側面行先表示器の視認性を高めるため、車体断面形状が変更された。1968年に製造された8000系8069F(試作形)は、アルミ車体製を採用した試作車であり、角張ったスタイルの車体になった。
落成時の塗装はクリーム色に青帯(●青帯)であったが、1968年以降はマルーン色の単色(●旧塗装)が採用された。1986年から1988年にかけて白とマルーン色のツートンに変更され、初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装(●新塗装Ⅰ)や、前面窓周りの白塗りが車両番号の下に縮小され、側面帯が太い塗装(●新塗装Ⅱ)であった。のちに、前面窓周りの白塗りが車両番号にかからず、側面帯が方向幕にかからない塗装(●新塗装Ⅲ)に統一された。1999年以降は塗装が簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された(●新塗装Ⅳ)。
改造による変化として、1967年から1968年にかけて前期形の標識灯が角形から丸形に変更された(標識灯)。1977年頃には全車両にスカートが設置された。1974年から冷房化改造が始まり、初回の8023Fは新製冷房車に準じた連続形のクーラーキセと通風器撤去が特徴である(試作冷房)。1977年から1985年にかけて全編成に冷房化改造が改造が施され、二分割された形状のクーラーキセが採用された(冷房)。1982年から1991年にかけて、全編成に前面表示器が設置された。
1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。また、2006年から2007年に車体更新が施された1012F、1015F、8605F~8607Fは側窓の一部が固定窓に変更された。
2018年には田原本線の開業100周年を記念した復刻塗装として、8414Fがマルーン色に銀帯(●銀帯)、8409Fが緑色(●緑色)に変更された。
バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 前期形/●青帯 |
A02 | 消滅 | 前期形/●青帯 [標識灯] |
A11 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 [標識灯] |
A12 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][スカート] |
A13 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][スカート][冷房] |
A14 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
A15 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][試作冷房] |
A16 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][試作冷房][スカート] |
A17 | 消滅 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][試作冷房][スカ―ト][前面表示器] |
A21 | 消滅 | 前期形/●新塗装Ⅰ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
A22 | 消滅 | 前期形/●新塗装Ⅱ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
A23 | 消滅 | 前期形/●新塗装Ⅲ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
A24 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅲ [標識灯][試作冷房][スカート][前面表示器] |
A25 | 消滅 | 前期形/●新塗装Ⅳ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
B01 | 消滅 | 中期形/●青帯 |
B11 | 消滅 | 中期形/●旧塗装 |
B12 | 消滅 | 中期形/●旧塗装 [スカート] |
B13 | 消滅 | 中期形/●旧塗装 [スカート][冷房] |
B14 | 消滅 | 中期形/●旧塗装 [スカート][冷房][前面表示器] |
B21 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅰ [スカート][冷房] |
B22 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅰ [スカート][冷房][前面表示器] |
B23 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅱ [スカート][冷房][前面表示器] |
B24 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅲ [スカート][冷房] |
B25 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅲ [スカート][冷房][前面表示器] |
B26 | 消滅 | 中期形/●新塗装Ⅲ [スカート][冷房][前面表示器][水切り] |
B27 | 現存 | 中期形/●新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器] |
B28 | 現存 | 中期形/●新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器][水切り] |
B29 | 現存 | 中期形/●新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器][水切り][固定窓] |
B31 | 消滅 | 中期形/●銀帯 [スカート][冷房][前面表示器][水切り] |
B41 | 消滅 | 中期形/●緑色 [スカート][冷房][前面表示器] |
C01 | 消滅 | 後期形Ⅰ/●旧塗装 |
C11 | 消滅 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅰ |
C12 | 消滅 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅲ |
C13 | 消滅 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅲ [水切り] |
C14 | 消滅 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅳ |
C15 | 現存 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅳ [水切り] |
C16 | 消滅 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅳ [水切り][固定窓] |
D01 | 消滅 | 後期形Ⅱ/●旧塗装 |
D11 | 消滅 | 後期形Ⅱ/●新塗装Ⅲ |
D12 | 現存 | 後期形Ⅱ/●新塗装Ⅳ [水切り] |
E01 | 消滅 | 試作形/●旧塗装 |
E02 | 消滅 | 試作形/●旧塗装 [スカート] |
E03 | 消滅 | 試作形/●旧塗装 [スカート][冷房][前面表示器] |
E11 | 消滅 | 試作形/●新塗装Ⅱ [スカート][冷房][前面表示器] |
E12 | 消滅 | 試作形/●新塗装Ⅳ [冷房][前面表示器][水切り] |
各バリエーション解説
A13 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][スカート][冷房] |
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前期形の冷房化改造後の姿。1977年から1985年にかけて冷房化改造が改造が施された。1991年までに前面表示器が設置され、この姿は消滅した。
A14 | 前期形/●旧塗装 [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
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前期形の前面表示器設置後の姿。1982年から1991年にかけて、前面表示器が設置された。1988年までに塗装変更され、この姿は消滅した。
A15 | 中期形/●旧塗装 [試作冷房] |
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8023Fの冷房化改造後の姿。1974年に冷房化改造の試作車として改造され、新製冷房車に準じた連続形のクーラーキセと通風器撤去が特徴である。1977年頃にスカートが設置され、この姿は消滅した。
A21 | 前期形/●新塗装Ⅰ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
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前期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。
A22 | 前期形/●新塗装Ⅱ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
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前期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、太い側面帯が特徴である。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。
A23 | 前期形/●新塗装Ⅲ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
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前期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は異なる塗分けが存在したが、側面帯が方向幕にかからない塗装に統一された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。
A25 | 前期形/●新塗装Ⅳ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器] |
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前期形の1999年頃の塗装変更後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。2002年までに廃車され、この姿は消滅した。
B21 | 中期形/●新塗装Ⅰ [スカート][冷房] |
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中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1991年までに前面表示器が設置され、この姿は消滅した。
B22 | 中期形/●新塗装Ⅰ [スカート][冷房][前面表示器] |
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中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。
B23 | 中期形/●新塗装Ⅱ [スカート][冷房][前面表示器] |
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中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、太い側面帯が特徴である。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。
B25 | 中期形/●新塗装Ⅲ [スカート][冷房][前面表示器] |
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中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は異なる塗分けが存在したが、側面帯が方向幕にかからない塗装に統一された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。
B26 | 中期形/●新塗装Ⅲ [スカート][冷房][前面表示器][水切り] |
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中期形の水切り設置後の姿。1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。
B27 | 中期形/●新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器] |
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中期形の1999年頃の塗装変更後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。現在も一部車両がこの姿で使用されている。
B28 | 中期形/●新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器][水切り] |
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中期形の水切り設置後の姿。1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。
B29 | 中期形/●新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器][水切り][固定窓] |
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中期形の側窓固定化後の姿。2006年から2007年に車体更新が施された1012F、1015Fは側窓の一部が大型固定窓に変更された。現在もこの姿で使用されている。
B31 | 中期形/●銀帯 [スカート][冷房][前面表示器][水切り] |
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8414Fの2018年の塗装変更後の姿。田原本線の開業100周年を記念した復刻塗装として、マルーン色に銀帯が採用された。2021年に塗装変更され、この姿は消滅した。
B41 | 中期形/●緑色 [スカート][冷房][前面表示器] |
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8409Fの2018年の塗装変更後の姿。田原本線の開業100周年を記念した復刻塗装として、緑色が採用された。2022年に塗装変更され、この姿は消滅した。
C01 | 後期形Ⅰ/●旧塗装 |
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後期形Ⅰの落成時の姿。新製冷房車として製造され、車体屋根部分が高く丸く変更された。また、落成時から前面表示器とスカートを装備した。1988年までに塗装変更され、この姿は消滅した。
C11 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅰ |
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後期形Ⅰの1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。
C12 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅲ |
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後期形Ⅰの1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は異なる塗分けが存在したが、側面帯が方向幕にかからない塗装に統一された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。
C15 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅳ [水切り] |
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後期形Ⅰの水切り設置後の姿。1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。
C16 | 後期形Ⅰ/●新塗装Ⅳ [水切り][固定窓] |
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後期形Ⅰの側窓固定化後の姿。2006年から2007年に車体更新が施された8605F~8607Fは側窓の一部が大型固定窓に変更された。現在もこの姿で使用されている。
D12 | 後期形Ⅱ/●新塗装Ⅳ [水切り] |
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後期形Ⅱの1999年頃の塗装変更および水切り設置後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。また、車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。
E03 | 試作形/●旧塗装 [スカート][冷房][前面表示器] |
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8069Fの冷房化改造後の姿。1985年に冷房化改造が施された。同時に前面表示器が設置された。1986年に塗装変更され、この姿は消滅した。
E11 | 試作形/●新塗装Ⅱ [スカート][冷房][前面表示器] |
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8069Fの1986年の塗装変更後の姿。白とマルーン色のツートンで、太い側面帯が特徴である。連結器の嵩上げに対応できず、1989年以降は8074Fの中間に組み込まれて使用された。1999年に塗装変更され、この姿は消滅した。
E12 | 試作形/●新塗装Ⅳ [冷房][前面表示器][水切り] |
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8069Fの1999年の塗装変更後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。同時に先頭車の中間車化と側扉に雨樋が設置された。2005年に廃車され、この姿は消滅した。