近畿日本鉄道8000系

近畿日本鉄道8000/8400/8800/920/1010系

《最終更新》 2023年12月24日

概要

8000系は近畿日本鉄道が1964年から製造した標準軌仕様の一般形電車である。1980年にかけて奈良線に208両が投入された。900系を基本としつつ、当初から昇圧に対応した車両である。

8400系は近畿日本鉄道が1969年から製造した標準軌仕様の一般形電車である。1972年にかけて奈良線に72両が投入された。8000系の走行機器の配置を変更して製造された車両である。

8600系は近畿日本鉄道が1973年から製造した標準軌仕様の一般形電車である。1979年にかけて奈良・京都線に86両が投入された。8400系を基本とした新製冷房車である。

8800系は近畿日本鉄道が1980年に製造した標準軌仕様の一般形電車である。奈良・京都線に4両編成2本が投入された。8600系の制御方式を改良して製造された車両である。

920系は近畿日本鉄道が1972年に製造した標準軌仕様の一般形電車である。京都線に3両編成5本が投入された。新製車体と600系の走行機器を組み合わせて製造された。1987年から1989年にかけて名古屋線に転属し、1010系に改番された。


外観の特徴

1964年から1966年に製造された8000系(以下、前期形)は900系の車体構造を基本としたが、前面窓ガラスの支持方式の変更によるHゴムの廃止、側扉窓ガラスを車内側が平滑に変更された。扇風機を装備し、屋根上には通風器が設置された。1967年から1972年に製造された8000系・8400系・920系(中期形)は送風装置のラインデリアを採用ししたため、車体屋根部分が低く平坦に変更された。また、標識灯は丸形のタイプが採用された。1973年から1979年に製造された8600系(後期形Ⅰ)は新製冷房車として製造され、車体屋根部分が高く丸く変更された。また、落成時から前面表示器とスカートを装備した。1980年に製造された8000系・8800系(後期形Ⅱ)は側面行先表示器の視認性を高めるため、車体断面形状が変更された。1968年に製造された8000系8069F(試作形)は、アルミ車体製を採用した試作車であり、角張ったスタイルの車体になった。

落成時の塗装はクリーム色に青帯(青帯)であったが、1968年以降はマルーン色の単色(旧塗装)が採用された。1986年から1988年にかけて白とマルーン色のツートンに変更され、初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装(新塗装Ⅰ)や、前面窓周りの白塗りが車両番号の下に縮小され、側面帯が太い塗装(新塗装Ⅱ)であった。のちに、前面窓周りの白塗りが車両番号にかからず、側面帯が方向幕にかからない塗装(新塗装Ⅲ)に統一された。1999年以降は塗装が簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された(新塗装Ⅳ)。

改造による変化として、1967年から1968年にかけて前期形の標識灯が角形から丸形に変更された(標識灯)。1977年頃には全車両にスカートが設置された。1974年から冷房化改造が始まり、初回の8023Fは新製冷房車に準じた連続形のクーラーキセと通風器撤去が特徴である(試作冷房)。1977年から1985年にかけて全編成に冷房化改造が改造が施され、二分割された形状のクーラーキセが採用された(冷房)。1982年から1991年にかけて、全編成に前面表示器が設置された。

1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。また、2006年から2007年に車体更新が施された1012F、1015F、8605F~8607Fは側窓の一部が固定窓に変更された。

2018年には田原本線の開業100周年を記念した復刻塗装として、8414Fがマルーン色に銀帯(銀帯)、8409Fが緑色(緑色)に変更された。


バリエーション一覧

No.
現状
特徴

各バリエーション解説

A01 前期形/青帯

前期形の落成時の姿。角形の標識灯と屋根上の通風器が特徴である。1968年までに標識灯が改造され、この姿は消滅した。

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A02 前期形/青帯 [標識灯]

前期形の標識灯改造後の姿。1967年から1968年にかけて標識灯が角形から丸形に変更された。1968年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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A11 前期形/旧塗装 [標識灯]

前期形の1968年頃の塗装変更後の姿。マルーン色の単色が採用された。1977年頃にスカートが設置され、この姿は消滅した。

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A12 前期形/旧塗装 [標識灯][スカート]

前期形のスカート設置後の姿。1977年頃にスカートが設置された。1985年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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A13 前期形/旧塗装 [標識灯][スカート][冷房]

前期形の冷房化改造後の姿。1977年から1985年にかけて冷房化改造が改造が施された。1991年までに前面表示器が設置され、この姿は消滅した。

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A14 前期形/旧塗装 [標識灯][スカート][冷房][前面表示器]

前期形の前面表示器設置後の姿。1982年から1991年にかけて、前面表示器が設置された。1988年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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A15 中期形/旧塗装 [試作冷房]

8023Fの冷房化改造後の姿。1974年に冷房化改造の試作車として改造され、新製冷房車に準じた連続形のクーラーキセと通風器撤去が特徴である。1977年頃にスカートが設置され、この姿は消滅した。

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A16 中期形/旧塗装 [試作冷房][スカート]

8023Fのスカート設置後の姿。1977年頃にスカートが設置された。1982年頃に前面表示器が設置され、この姿は消滅した。

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A17 中期形/旧塗装 [試作冷房][スカ―ト][前面表示器]

8023Fの前面表示器設置後の姿。1982年頃に前面表示器が設置された。1988年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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A21 前期形/新塗装Ⅰ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器]

前期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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A22 前期形/新塗装Ⅱ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器]

前期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、太い側面帯が特徴である。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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A23 前期形/新塗装Ⅲ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器]

前期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は異なる塗分けが存在したが、側面帯が方向幕にかからない塗装に統一された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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A24 前期形/新塗装Ⅲ [標識灯][試作冷房][スカート][前面表示器]

8023Fの1986年頃の塗装変更後の姿。白とマルーン色のツートンが採用された。1998年に廃車され、この姿は消滅した。

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A25 前期形/新塗装Ⅳ [標識灯][スカート][冷房][前面表示器]

前期形の1999年頃の塗装変更後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。2002年までに廃車され、この姿は消滅した。

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B01 中期形/青帯

中期形の落成時の姿。屋根上に設置された送風装置のラインデリアが特徴である。1968年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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B11 中期形/旧塗装

中期形の1968年頃の塗装変更後の姿。マルーン色の単色が採用された。1977年頃にスカートが設置され、この姿は消滅した。

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B12 中期形/旧塗装 [スカート]

中期形のスカート設置後の姿。1977年頃にスカートが設置された。1985年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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B13 中期形/旧塗装 [スカート][冷房]

中期形の冷房化改造後の姿。1977年から1985年にかけて冷房化改造が改造が施された。1991年までに前面表示器が設置され、この姿は消滅した。

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B14 中期形/旧塗装 [スカート][冷房][前面表示器]

中期形の前面表示器設置後の姿。1982年から1991年にかけて、前面表示器が設置された。1988年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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B21 中期形/新塗装Ⅰ [スカート][冷房]

中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1991年までに前面表示器が設置され、この姿は消滅した。

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B22 中期形/新塗装Ⅰ [スカート][冷房][前面表示器]

中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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B23 中期形/新塗装Ⅱ [スカート][冷房][前面表示器]

中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、太い側面帯が特徴である。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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B24 中期形/新塗装Ⅲ [スカート][冷房]

中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。側面帯が方向幕にかからない塗装が採用された。1991年までに前面表示器が設置され、この姿は消滅した。

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B25 中期形/新塗装Ⅲ [スカート][冷房][前面表示器]

中期形の1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は異なる塗分けが存在したが、側面帯が方向幕にかからない塗装に統一された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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B26 中期形/新塗装Ⅲ [スカート][冷房][前面表示器][水切り]

中期形の水切り設置後の姿。1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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B27 中期形/新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器]

中期形の1999年頃の塗装変更後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。現在も一部車両がこの姿で使用されている。

近畿日本鉄道 1011F
近畿日本鉄道 1011F
撮影場所 近鉄八田駅   撮影日 2022年6月
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B28 中期形/新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器][水切り]

中期形の水切り設置後の姿。1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。

近畿日本鉄道 8723F
近畿日本鉄道 8723F
撮影場所 若江岩田駅   撮影日 2022年6月
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B29 中期形/新塗装Ⅳ [スカート][冷房][前面表示器][水切り][固定窓]

中期形の側窓固定化後の姿。2006年から2007年に車体更新が施された1012F、1015Fは側窓の一部が大型固定窓に変更された。現在もこの姿で使用されている。

近畿日本鉄道 1016F
近畿日本鉄道 1016F
撮影場所 近鉄八田駅   撮影日 2022年6月
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B31 中期形/銀帯 [スカート][冷房][前面表示器][水切り]

8414Fの2018年の塗装変更後の姿。田原本線の開業100周年を記念した復刻塗装として、マルーン色に銀帯が採用された。2021年に塗装変更され、この姿は消滅した。

近畿日本鉄道 8414F
近畿日本鉄道 8414F
撮影場所 大輪田駅   撮影日 2019年5月
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B41 中期形/緑色 [スカート][冷房][前面表示器]

8409Fの2018年の塗装変更後の姿。田原本線の開業100周年を記念した復刻塗装として、緑色が採用された。2022年に塗装変更され、この姿は消滅した。

近畿日本鉄道 8409F
近畿日本鉄道 8409F
撮影場所 黒田駅付近   撮影日 2021年2月
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C01 後期形Ⅰ/旧塗装

後期形Ⅰの落成時の姿。新製冷房車として製造され、車体屋根部分が高く丸く変更された。また、落成時から前面表示器とスカートを装備した。1988年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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C11 後期形Ⅰ/新塗装Ⅰ

後期形Ⅰの1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は、前面窓周りの白塗りが車両番号にかかり、側面帯が方向幕にかかる太い塗装であった。1990年頃までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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C12 後期形Ⅰ/新塗装Ⅲ

後期形Ⅰの1986年頃の塗装変更後の姿。初期に塗装変更された車両は異なる塗分けが存在したが、側面帯が方向幕にかからない塗装に統一された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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C13 後期形Ⅰ/新塗装Ⅲ [水切り]

後期形Ⅰの水切り設置後の姿。1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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C14 後期形Ⅰ/新塗装Ⅳ

後期形Ⅰの1999年頃の塗装変更後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。2019年までに水切りが設置され、この姿は消滅した。

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C15 後期形Ⅰ/新塗装Ⅳ [水切り]

後期形Ⅰの水切り設置後の姿。1998年以降は車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。

近畿日本鉄道 8619F
近畿日本鉄道 8619F
撮影場所 若江岩田駅   撮影日 2022年6月
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C16 後期形Ⅰ/新塗装Ⅳ [水切り][固定窓]

後期形Ⅰの側窓固定化後の姿。2006年から2007年に車体更新が施された8605F~8607Fは側窓の一部が大型固定窓に変更された。現在もこの姿で使用されている。

近畿日本鉄道 8605F
近畿日本鉄道 8605F
撮影場所 河内花園駅   撮影日 2022年6月
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D01 後期形Ⅱ/旧塗装

後期形Ⅱの落成時の姿。側面行先表示器の視認性を高めるため、車体断面形状が変更された。1988年までに塗装変更され、この姿は消滅した。

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D11 後期形Ⅱ/新塗装Ⅲ

後期形Ⅱの1986年頃の塗装変更後の姿。白とマルーン色のツートンが採用された。1999年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

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D12 後期形Ⅱ/新塗装Ⅳ [水切り]

後期形Ⅱの1999年頃の塗装変更および水切り設置後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。また、車体更新にあわせて側扉に水切りが設置された。現在もこの姿で使用されている。

近畿日本鉄道 8414F
近畿日本鉄道 8902F
撮影場所 田原本駅付近   撮影日 2019年5月
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E01 試作形/旧塗装

8063Fの落成時の姿。アルミ車体製を採用した試作車であり、角張ったスタイルの車体が特徴である。1977年頃にスカートが設置され、この姿は消滅した。

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E02 試作形/旧塗装 [スカート]

8069Fのスカート設置後の姿。1977年頃にスカートが設置された。1985年までに冷房化改造が施され、この姿は消滅した。

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E03 試作形/旧塗装 [スカート][冷房][前面表示器]

8069Fの冷房化改造後の姿。1985年に冷房化改造が施された。同時に前面表示器が設置された。1986年に塗装変更され、この姿は消滅した。

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E11 試作形/新塗装Ⅱ [スカート][冷房][前面表示器]

8069Fの1986年の塗装変更後の姿。白とマルーン色のツートンで、太い側面帯が特徴である。連結器の嵩上げに対応できず、1989年以降は8074Fの中間に組み込まれて使用された。1999年に塗装変更され、この姿は消滅した。

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E12 試作形/新塗装Ⅳ [冷房][前面表示器][水切り]

8069Fの1999年の塗装変更後の姿。塗装デザインが簡略化され、雨樋と裾部のマルーン色が省略された。同時に先頭車の中間車化と側扉に雨樋が設置された。2005年に廃車され、この姿は消滅した。

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