JR東日本キハ110系

JR東日本キハ110系

《最終更新》 2022.05.25

1. 概要

キハ110系はJR東日本が1990年から製造した一般形気動車である。1999年にかけて、両運転台構造のキハ110形94両、片運転台構造のキハ111・112形の2両編成46本が投入された。


2. 外観の特徴

2.1. 車体構造の差異

製造時期により車体構造に差異が存在する。

キハ110-1◆試作形
1990年に製造された0番台試作車のキハ110-1~3が該当する。0番台は急行列車用で回転リクライニングシートを備えており、座席配置に合わせた横長の側窓が特徴である。また、スカートにはパイプ状の部材が取り付けられている。乗務員室の側窓が金具支持である点は、試作車としての特徴である。


キハ110-5◆初期形
1991年に製造された0番台量産車のキハ110-4・5、キハ111・112-1~3が該当する。0番台としての特徴は試作車と同様である。乗務員室の側窓がHゴム支持である点は、量産車としての特徴である。


キハ110-119◆前期形
1991年から1992年にかけて製造された100番台のキハ110-101~139、キハ111・112-101~121が該当する。100番台は普通列車用で座席配置はセミクロスシートである。100番台以降は貫通幌に片幌方式が採用された点が特徴である。初期に製造されたキハ110-101~104、キハ111・112-101~108は開口部が大きいスカート(以下、初期スカート)を採用している。


キハ110-209◆中期形
1993年に製造された200番台のキハ110-201~210が該当する。側扉を引き戸に変更し、ステップを下げた点が200番台の特徴である。


キハ110-213◆後期形
1993年から1999年にかけて製造された200番台のキハ110-211~245、キハ111・112-201~221が該当する。衝突対策として車体が延長され、外観上は乗務員扉と客扉の間隔が拡大している点が特徴である。キハ110-223~236、キハ111・112-210~212は特急「秋田リレー」用の300番台を編入した車両で、当初は回転リクライニングシートを備えていた。


◆晩期形
1994年に製造された150番台のキハ111・112-151・152が該当する。200番台と同様に引き戸を採用しているが、ステップの高さは100番台に準じている。衝突対策として、延長した車体構造を採用している。


2.2. 改造による変化

◆幌枠改造
落成時の0番台の貫通幌は両幌方式であり、片幌方式を採用した100番台以降との互換性が無かった。2007年に他の番台との併結運用を可能にするため、0番台の全車両の貫通幌が片幌方式に改造された。


※LED式行先表示器
落成時は全車両が幕式行先表示器であったが、2008年から順次、側面行先表示器のみLED式に更新された。


2.3. 塗装の差異

投入線区のオリジナルカラーの採用や特別塗装の施工によって、カラーバリエーションが存在する。

●初期色
1990年に製造された試作車に採用された塗装。薄緑をベースに扉部と車体隅部に緑色を配している。試作車の特徴として前面が黒塗装であった。


キハ110-135標準色
各地区で共通の標準的な塗装。薄緑をベースに扉部と車体隅部に緑色を配している。一部を除いて、この塗装で落成された。


秋田色
特急「秋田リレー」に投入された300番台に施された塗装。白をベースにピンク、赤紫色、灰色が配されている。


キハ112-213陸羽赤色
陸羽東線に投入されたキハ111・112形に施される塗装。白をベースに車体隅部に緑色、側窓下に赤帯を配している。


キハ110-244陸羽黄色
陸羽西線に投入されたキハ110形に施される塗装。白をベースに車体隅部に緑色、側窓下に黄帯を配している。


キハ110-121朱色
小海線80周年を記念して、キハ110-121に施された塗装。かつて小海線で使用されたキハ52形の首都圏色を再現したもので、朱色をベースに屋根部が灰色である。


キハ111-111急行色
小海線80周年を記念して、キハ111・112-111に施された塗装。かつて小海線で使用されたキハ58形の国鉄急行色を再現したもので、クリーム色をベースに窓周りは赤である。


キハ111-204八高色
八高線全線開通80周年を記念して、キハ111・112-204に施された塗装。かつて八高線で使用されたキハ38形の塗装を再現したもので、白をベースに赤と黒の帯である。


飯山色飯山色
信州デスティネーションキャンペーンの一環として、飯山線のキハ110-231・233に施された塗装。1991年から1997年まで飯山線の車両に施されていた塗装を再現したもので、青と白のツートンである。


キハ110-236おいこっと赤
飯山線の観光列車「おいこっと」の専用車両であるキハ110-236に施される塗装。臙脂色をベースに扉部がクリーム色である。


キハ110-235おいこっと白
飯山線の観光列車「おいこっと」の専用車両であるキハ110-235に施される塗装。クリーム色をベースに扉部が臙脂色である。


TOHOKU EMOTION東北EM
八戸線を中心に使用されるジョイフルトレイン「TOHOKU EMOTION」に施される塗装。白をベースにタイル調の装飾が施されている。


HIGH RAIL 1375ハイレール
小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」に施される塗装。青をベースに側面には夜空と山景の装飾が施されている。


3. 特徴マトリックス図

 
 
●初期色
標準色
秋田色
陸羽赤色
陸羽黄色
朱色
急行色
八高色
飯山色
おいこっと赤
おいこっと白
東北EM
ハイレール
試作形 初期形 前期形
中期形
後期形
晩期形
 
幌枠改造
幌枠改造
初期スカ
 
A01  
A02 A03 B01 B02 C01 C11 D01 E01 F01  
E02  
E03  
E04  
C21  
C22  
E11  
E12  
E21  
E22  
B11 C31  
C32  

4. バリエーション一覧

No.
現状
特徴

5. 各バリエーション解説

A01 試作形/●初期色

キハ110-1~3の落成時の姿。1990年に試作車として落成され、前面部の黒塗装が特徴であった。後に量産車と同様の塗装に変更され、この姿は消滅した。

盛岡客車区 キハ110-1
盛岡客車区 キハ110-1
撮影日 CGによる再現(2022.05作成)
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A02 試作形/標準色

キハ110-1~3の量産化改造後の姿。量産車に準じた塗装に変更された。2007年に貫通幌が両幌式から片幌式に変更され、この姿は消滅した。

盛岡客車区 キハ110-1
盛岡客車区 キハ110-1
撮影日 CGによる再現(2022.05作成)
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A03 試作形/標準色 [幌枠改造]

キハ110-1~3の幌枠改造後の姿。100番台以降の車両との併結運用を可能とするため、2007年に幌枠が改造された。現在はこの姿で使用されている。

盛岡車両センター キハ110-1
盛岡車両センター キハ110-1
撮影場所 花巻駅   撮影日 2020.10.31
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B01 初期形/標準色

キハ110-4・5、キハ111・112-1~3の落成時の姿。2007年に貫通幌が両幌式から片幌式に変更され、この姿は消滅した。

盛岡客車区 キハ110-5
盛岡客車区 キハ110-5
撮影日 CGによる再現(2022.05作成)
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B02 初期形/標準色 [幌枠改造]

キハ110-4・5、キハ111・112-1~3の幌枠改造後の姿。100番台以降の車両との併結運用を可能とするため、2007年に幌枠が改造された。現在はこの姿で使用されている。

盛岡車両センター キハ112-3
盛岡車両センター キハ112-3
撮影場所 盛岡駅   撮影日 2020.10.31
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B11 初期形/東北EM [幌枠改造]

「TOHOKU EMOTION」のキハ111・キクシ112-701の姿。2013年にキハ111・112-2から改造され、内外装が変更されている。現在もこの姿で使用されている。

八戸運輸区 キハ111-701
八戸運輸区 キハ111-701
撮影場所 八戸駅   撮影日 2020.10.30
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C01 前期形/標準色 [初期スカ]

キハ110-101~104、キハ111・112-101~108の落成時の姿。初期に製造された100番台が該当し、後に製造された車両と比較すると、開口部が大きなスカートが特徴である。現在もこの姿で使用されている。

小牛田運輸区 キハ110-104
小牛田運輸区 キハ110-104
撮影場所 石巻駅   撮影日 2018.02.13
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C11 前期形/標準色

キハ110-105~139、キハ111・112-109~121の落成時の姿。

小海線営業所 キハ111-109
小海線営業所 キハ111-109
撮影場所 中込駅   撮影日 2016.03.11
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C21 前期形/朱色

朱色のキハ110-121の姿。同車は2015年に小海線80周年を記念して、塗装が変更された。2016年に標準色に変更されたことで、この姿は消滅している。

小海線営業所 キハ110-121
小海線営業所 キハ110-121
撮影日 CGによる再現(2022.05作成)
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C22 前期形/急行色

急行色のキハ111・112-111の姿。同車は2015年に小海線80周年を記念して、塗装が変更された。2017年に標準色に変更されたことで、この姿は消滅している。

小海線営業所 キハ110-121
小海線営業所 キハ111-111
撮影場所 中込駅   撮影日 2016.03.11
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C31 前期形/東北EM

「TOHOKU EMOTION」のキハ110-701の姿。2013年にキハ110-105から改造され、内外装が変更されている。現在もこの姿で使用されている。

八戸運輸区 キハ110-701
八戸運輸区 キハ110-701
撮影場所 本八戸駅付近   撮影日 2020.10.30
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C32 前期形/ハイレール

「HIGH RAIL 1375」のキハ112-711の姿。2017年にキハ110-108から改造され、内外装が変更されている。片側の運転台の使用を停止したことで、形式がキハ112形に変更されている。現在もこの姿で使用されている。

小海線営業所 キハ112-711
小海線営業所 キハ112-711
撮影場所 甲斐小泉駅   撮影日 2018.03.18
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D01 中期形/標準色

キハ110-201~210の落成時の姿。現在もこの姿で使用されている。

八戸運輸区 キハ110-701
新津運輸区 キハ110-206
撮影場所 新津駅   撮影日 2019.12.27
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E01 後期形/標準色

キハ110-211~222・237~239、キハ111・112-201~209・213~217の落成時の姿。現在もこの姿で使用されている。特急「秋田リレー号」用であった300番台は内外装を変更のうえ、キハ110-223~236、キハ111・112-210~212としてこの姿になった。

新津運輸区 キハ112-202
新津運輸区 キハ112-202
撮影場所 新津駅   撮影日 2019.12.27
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E02 後期形/秋田色

キハ110-301~314、キハ111・112-301~303の落成時の姿。特急「秋田リレー号」の専用車両として特急列車用の設備を有していた。同列車は1997年に運行を終了し、同車は一般化改造を経て200番台に編入され、この姿は消滅した。

南秋田運転所 キハ110-301
南秋田運転所 キハ110-301
撮影日 CGによる再現(2022.05作成)
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E03 後期形/陸羽赤色

陸羽東線に投入されたキハ111・112-213~221の姿。専用塗装が施されている。キハ111・112-218~221は落成時からこの塗装であった。現在もこの姿で使用されている。

小牛田運輸区 キハ112-213
小牛田運輸区 キハ112-213
撮影場所 余目駅   撮影日 2018.03.24
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E04 後期形/陸羽黄色

陸羽西線に投入されたキハ110-237~245の姿。専用塗装が施されている。キハ110-240~245は落成時からこの塗装であった。現在もこの姿で使用されている。

小牛田運輸区 キハ110-244
小牛田運輸区 キハ110-244
撮影場所 酒田駅   撮影日 2018.03.24
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E11 後期形/八高色

八高色のキハ111・112-204の姿。2014年に八高線全線開通80周年を記念して、かつて同線で使用されたキハ38形の塗装が施された。2018年に塗装変更され、この姿は消滅した。

高崎車両センター キハ111-204
高崎車両センター キハ111-204
撮影場所 高崎駅   撮影日 2018.02.09
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E12 後期形/飯山色

飯山色のキハ110-231・233の姿。2017年に信州デスティネーションキャンペーンの一環として、かつて同線で使用された車両の塗装が施された。2019年に塗装変更され、この姿は消滅した。

長野総合車両センター キハ110-231
長野総合車両センター キハ110-231
撮影場所 長野駅   撮影日 2018.03.18
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E21 後期形/おいこっと赤

「おいこっと」のキハ110-236の姿。2015年に観光列車「おいこっと」の専用車両として改造された。現在もこの姿で使用されている。

長野総合車両センター キハ110-236
長野総合車両センター キハ110-236
撮影場所 戸狩野沢温泉駅   撮影日 2016.03.12
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E22 後期形/おいこっと白

「おいこっと」のキハ110-235の姿。2015年に観光列車「おいこっと」の専用車両として改造された。現在もこの姿で使用されている。

長野総合車両センター キハ110-235
長野総合車両センター キハ110-235
撮影場所 長野駅   撮影日 2016.03.12
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F01 晩期形/標準色

キハ111・112-151・152の落成時の姿。現在もこの姿で使用されている。

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