JR東日本E217系
1.概要
E217系はJR東日本が1994年から製造した近郊形直流電車である。横須賀・総武快速線の113系の置き換えを目的として、11両編成51本と4両編成46本が製造された。横須賀・総武快速線を中心に、内房線、外房線、鹿島線で使用されている。2006年から2015年まで東海道線でも使用されていた。
以下、E217系の姿について解説する。
2.外観の特徴
2.1.塗装の差異
●スカ色
横須賀・総武快速線の車両に施されていた塗装。製造時は全車がこの塗装であった。同線で使用されていた113系の車体色を引き継いだ、青色とクリーム色である。2007年から開始された機器更新工事と同時に車体色が変更され、2012年に消滅した。
●新スカ色
横須賀・総武快速線の車両に施される塗装。2008年からの機器更新と同時にこの塗装に変更された。帯色は青色とクリーム色であるが、以前よりも明るい青色に変更されている。また、側面窓上の幕板部の帯の数が変更されている。
●湘南色
東海道線の車両に施されていた塗装。2006年にE217系の一部編成が東海道線向けとして、国府津車両センターに転属した際に塗装変更された。帯色は同線のE231系と同じ配色である。2015年の東海道線撤退により、この塗装は消滅した。
2.2.車体構造の差異
●初期形
1994年に量産先行車として製造された11両編成と4両編成の各2本が該当する。後の量産車とは、先頭車前面のステップ形状や内装の一部が異なることが特徴である。1996年に量産化改造が施され、初期形に該当する先頭車8両のうち、4両は後述の前期形に準じた車体に変更された。1999年には車椅子対応トイレの設置に伴い、編成組み換えが生じている。そのため、現在、初期形の特徴をもつ先頭車はクラY1編成(11号車)とクラY101編成、クラY141編成(増1号車)である。
●前期形
1995年から1998年に製造された量産車の11両編成と4両編成各35本が該当する。
●後期形
1999年に製造された量産車の11両編成14本と4両編成9本が該当する。前期形と比べ、前面非常扉の廃止、LED式行先表示器への変更、ロングシート車の窓枠の変更など相違がある。一部車両は車椅子対応トイレ設置の関係で初期形や前期形に組み込まれた。これら車両は組み込まれる編成に合わせ、幕式行先表示器であった。
●グリーン車
基本編成に組み込まれるグリーン車が該当する。車掌室を備えるサロE216形と便所を備えるサロE217形が2両1組で組み込まれている。製造時期による大きな差異は存在しない。
2.3.改造による差異
●スカート交換
2009年から2010年にかけて、先頭車のスカートが強化形に変更された。2008年から開始された機器更新工事の途中から同時に施工されるようになり、機器更新工事が未施工の車両も2010年までに交換された。
※行先表示器LED化改造
製造時は幕式行先表示器であった初期形と前期形は2010年までにLED式に変更された。
注)この特徴は以下のバリエーションに反映していない。
※側窓開閉化改造
後期形のうち、ロングシートの先頭車は開閉可能な大型窓が少なかったため、2007年に車体中央の大型窓が開閉式に変更された。
注)この特徴は以下のバリエーションに反映していない。
3.特徴マトリックス図
初期形 | |
強化形 | |
前期形 | |
強化形 | |
後期形 | |
強化形 | |
グリーン車 |
4.バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 初期形/●スカ色 |
A02 | 消滅 | 初期形/●湘南色 |
B01 | 消滅 | 初期形/●スカ色 [強化形スカート] |
B02 | 現存 | 初期形/●新スカ色 [強化形スカート] |
B03 | 消滅 | 初期形/●湘南色 [強化形スカート] |
C01 | 消滅 | 前期形/●スカ色 |
C02 | 消滅 | 前期形/●新スカ色 |
C03 | 消滅 | 前期形/●湘南色 |
D01 | 消滅 | 前期形/●スカ色 [強化形スカート] |
D02 | 現存 | 前期形/●新スカ色 [強化形スカート] |
D03 | 消滅 | 前期形/●湘南色 [強化形スカート] |
E01 | 消滅 | 後期形/●スカ色 |
E02 | 消滅 | 後期形/●新スカ色 |
E03 | 消滅 | 後期形/●湘南色 |
F01 | 消滅 | 後期形/●スカ色 [強化形スカート] |
F02 | 現存 | 後期形/●新スカ色 [強化形スカート] |
F03 | 消滅 | 後期形/●湘南色 [強化形スカート] |
G01 | 消滅 | グリーン車/●スカ色 |
G02 | 現存 | グリーン車/●新スカ色 |
G03 | 消滅 | グリーン車/●湘南色 |
5.各バリエーション解説
A02 | 初期形/●湘南色 |
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東海道線に転属した量産先行車の姿。2006年に転属したコツF01編成(1号車は除く)とコツF51編成がこの姿であった。2010年3月頃に強化形スカートに変更され、この姿は消滅した。
B01 | 初期形/●スカ色 [強化形スカート] |
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横須賀線の量産先行車のスカート変更後の姿。2009年から強化形スカートに変更された。当時、初期車が組み込まれる編成のうち、クラY1編成、クラY101編成は東海道線に転出しており、この姿になったのはクラY141編成のみであった。同編成への機器更新工事の施工により、この姿は消滅した。
B02 | 初期形/●新スカ色 [強化形スカート] |
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横須賀線の量産先行車の機器更新後の姿。東海道線から復帰したクラY1編成とクラY101編成は、2010年の転用改造と同時に機器更新工事が施工された。クラY141編成も2011年に機器更新工事を施工され、この姿になった。
B03 | 初期形/●湘南色 [強化形スカート] |
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東海道線の量産先行車のスカート変更後の姿。量産先行車であるコツF01編成とコツF51編成は2010年3月頃に強化形スカートに変更された。2010年4月頃に横須賀線への転用改造と機器更新が施され、この姿は消滅した。
C01 | 前期形/●スカ色 |
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量産車の前期形の姿。また、前期形と同様の車体に載せ替えた量産先行車の姿。スカート交換や塗装変更により、この姿は消滅した。
C02 | 前期形/新スカ色 |
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機器更新後の前期形の姿。2008年に機器更新された車両の姿である。後にスカート交換により、この姿は消滅した。
C03 | 前期形/●新スカ色 |
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東海道線の前期形の姿。また、前期形と同様の車体に載せ替えた量産先行車の姿。量産先行車であるコツF02編成(1号車は除く)とコツF52編成、量産車前期形であるコツF03編成(1号車は除く)とコツF53編成が該当する。
D02 | 前期形/●新スカ色 [強化形スカート] |
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横須賀線の前期形の機器更新後の姿。2009年以降に機器更新された車両はスカート交換も行われた。それ以前の車両もスカート交換が行われ、この姿に統一されている。
D03 | 前期形/●湘南色 [強化形スカート] |
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東海道線の前期形のスカート交換後の姿。2010年にスカートが強化形に変更された。2015年に東海道線から撤退し、この姿は消滅した。
E01 | 後期形/●スカ色 |
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後期形の姿。前期形と比べ、非常扉の廃止(外観は維持しているものの機能がなく、取っ手がないことが特徴)や、ロングシート車の大窓が変更されている。スカート交換や塗装変更により、この姿は消滅した。
F02 | 後期形/●新スカ色 [強化形スカート] |
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横須賀線の後期形の機器更新後の姿。2009年以降に機器更新された車両はスカート交換も行われた。それ以前の車両もスカート交換が行われ、この姿に統一されている。
F03 | 後期形/●湘南色 [強化形スカート] |
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東海道線の後期形のスカート交換後の姿。量産先行車であるコツF01編成とコツF02編成の1号車に連結されていた。2010年にスカートが強化形に変更された。2015年に東海道線から撤退し、この姿は消滅した。