国鉄717系
1.概要
717系は、国鉄が1986年から製造した近郊形交流電車である。急行列車縮小後に幹線のローカル列車に使用されていた急行形電車を種車として製造された。仙台地区に451系を種車とした0番台が3両編成5本、453系を種車とした100番台が3両編成5本が投入された。また、九州地区にも475系を種車とした200番台が2両編成7本、457系を種車とした900番台が2両編成1本が投入された。なお、一部車両は民営化後にJR東日本とJR九州によって製造された。
仙台地区の車両は東北本線や常磐線で2007年まで、九州地区の車両は大分地区や鹿児島地区、熊本地区で2013年まで使用された。現在は全車が廃車されている。
2.外観の特徴
塗装は仙台地区の車両が白をベースに緑帯(以下、●東北色)、九州地区の車両が白をベースに青帯(●九州色)である。
仙台地区の0番台と100番台の車体は同一であり、製造時期による差異や改造による変化も生じなかった。
一方、九州地区の200番台は製造時期による差異が存在し、1987年3月までに製造された車両(200番台(前期形))は戸袋窓が存在し、1987年12月に製造された車両(200番台(後期形))は戸袋窓が存在しない。当初は屋根上に通風器が設置されていたが、後年の改造により撤去されていた。
900番台は1995年に製造された車両であり、種車の車体の流用や唯一の3扉車体など、車体構造が200番台とは大きく異なる。また、編成の前後で前面形状に差異が存在し、種車の既存の運転台を活用したクモハ717-901は大型の原形前照灯であるが、クハ455-601から流用された運転台(先頭化改造)をもつクモハ716-901は小型のシールドビームであった。加えてタイフォンの位置も若干異なる。なお、クモハ717-901の原形前照灯は後の改造(前照灯改造)によりシールドビームに変更された。
3.バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 0・100番台/●東北色 |
B01 | 消滅 | 200番台(前期形)/●九州色 |
B02 | 消滅 | 200番台(前期形)/●九州色 [通風器撤去] |
B11 | 消滅 | 200番台(後期形)/●九州色 |
B12 | 消滅 | 200番台(後期形)/●九州色 [通風器撤去] |
C01 | 消滅 | 900番台/●九州色 |
C02 | 消滅 | 900番台/●九州色 [前照灯改造] |
C03 | 消滅 | 900番台/●九州色 [先頭化改造] |
4.各バリエーション解説
B01 | 200番台(前期形)/●九州色 |
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落成時の200番台(前期形)の姿。1987年3月までに製造されたクモハ717・716-201~-204がこの姿であった。後に通風器が撤去され、この姿は消滅した。
B02 | 200番台(前期形)/●九州色 [通風器撤去] |
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通風器撤去後の200番台(前期形)の姿。後年に通風器が撤去された。2014年までに廃車され、この姿は消滅した。
B11 | 200番台(後期形)/●九州色 |
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落成時の200番台(後期形)の姿。1987年12月以降に製造されたクモハ717・716-205~-207がこの姿であった。後に通風器が撤去され、この姿は消滅した。
B12 | 200番台(後期形)/●九州色 [通風器撤去] |
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通風器撤去後の200番台(後期形)の姿。後年に通風器が撤去された。2014年までに廃車され、この姿は消滅した。
C01 | 900番台/●九州色 |
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落成時のクモハ717-901の姿。クモハ457形を種車としており、前面は大型の原形前照灯を装備している。後にシールドビームに改造され、この姿は消滅した。
C02 | 900番台/●九州色 [前照灯改造] |
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前照灯改造後のクモハ717-901の姿。後年の改造により前照灯はシールドビームに変更された。2010年に廃車され、この姿は消滅した。
C03 | 900番台/●九州色 [先頭化改造] |
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落成時のクモハ716-901の姿。モハ456形を種車にクハ455-601の運転台の接合による先頭化改造が施工されている。前照灯は当初からシールドビームであり、タイフォンの位置やカバーが設置されていなかった点が特徴である。2010年に廃車され、この姿は消滅した。