JR西日本681系
1.概要
681系はJR西日本が1992年から特急「サンダーバード」、「はくたか」向けに製造した特急形交直流電車である。1992年に先行試作車として9両編成1本、1995年から1997年にかけて量産車として6両編成8本と3両編成9本が投入された。
先行試作車は1995年に量産車の仕様に合わせる改造が実施され、1000番台に区分された。また、2001年には9両編成1本を改造により6両編成1本と3両編成1本に組成を変更した。
1996年は北越急行も特急「はくたか」用として681系2000番台の6両編成2本と3両編成2本を投入した。JR西日本が保有する「はくたか」用の編成と共通で運用されていた。
北陸新幹線の開業に伴って特急「はくたか」は2015年で運行を終了し、以降は特急「サンダーバード」、「しらさぎ」、「ダイナスター」、「能登かがり火」に使用される。北越急行か保有していた車両はJR西日本に売却された。
2.外観の特徴
2.1.車体構造の差異
試作車と量産車で差異があり、それぞれ非貫通形と貫通形が存在する。
◆試作形(非貫通)
1992年に製造された先行試作車が該当する。客用扉の窓の高さは側窓と同じであり、乗務員室の側窓が三角形であることが特徴である。また、車体裾部は中央部が突出している。
◆試作形(貫通)
試作車を9両編成から6+3両編成に変更するため、2001年に先頭車化改造が施された車両が該当する。客用扉の窓の高さや車体裾部などに試作車の特徴がみられる。
◆量産形(非貫通)
1995年から1997年に製造された量産車のクロ681形、クハ681形が該当する。客用扉の窓が拡大され、乗務員室の側窓は四角形、車体裾部は一直線に変更されている。
◆量産形(貫通)
1995年から1997年に製造された量産車のクモハ681形、クハ680形が該当する。
2.2.塗装の差異
681系に施される塗装は以下のとおりである。
●標準色
「サンダーバード」用編成と「はくたか」用編成の塗装。帯色は青である。JR西日本が製造した量産車は全車がこの塗装で落成された。
●標準色(川重)
「サンダーバード」用編成と「はくたか」用編成の貫通形先頭車のうち、川崎重工で製造された車両の塗装。前面窓下部のグレー塗装部分が少ない点が特徴である。
●しらさぎ色
「しらさぎ」用編成の塗装。帯色は青色とオレンジ色である。2015年に「はくたか」用編成が「しらさぎ」に転用され、この塗装に変更された。
●しらさぎ色(川重)
「しらさぎ」用編成の貫通形先頭車のうち、川崎重工で製造された車両の塗装。前面窓下部のグレー塗装部分が少ない点が特徴である。
●初期色
先行試作車の落成時の塗装。帯色はグレーがメインであり、一部が青色であった。1996年の量産化改造と同時に塗装変更され、この塗装は消滅している。
●北越色
北越急行が保有した車両の塗装。前面と帯色は赤である。北越急行の車両は2015年にJR西日本へ売却され、この塗装は消滅している。
●北越色(新潟)
北越急行が保有した編成の貫通形先頭車のうち、新潟鐵工所で製造された車両の塗装。前面窓まわりの黒塗装が特徴である。
●更新色
「サンダーバード」用編成のリニューアル後の塗装。2015年より特急「サンダーバード」に使用される681系と683系でリニューアルが実施されている。681系では2018年にキトV11編成に施されている。塗装は窓まわりが黒で窓下に青帯である。
3.特徴マトリックス図
|
---|
●初期色 |
●標準色 |
●北越色 |
●北越色(新潟) |
●更新色 |
4.バリエーション一覧
No.
|
現状
|
特徴 |
---|---|---|
A01 | 消滅 | 試作形(非貫通)/●初期色 |
A02 | 現存 | 試作形(非貫通)/●標準色 |
A03 | 消滅 | 試作形(非貫通)/●しらさぎ色 |
B01 | 消滅 | 試作形(貫通)/●標準色 |
B02 | 消滅 | 試作形(貫通)/●しらさぎ色 |
C01 | 現存 | 量産形(非貫通)/●標準色 |
C02 | 現存 | 量産形(非貫通)/●しらさぎ色 |
C03 | 現存 | 量産形(非貫通)/●更新色 |
C11 | 消滅 | 量産形(非貫通)/●北越色 |
D01 | 現存 | 量産形(貫通)/●標準色 |
D02 | 現存 | 量産形(貫通)/●標準色(川重) |
D11 | 現存 | 量産形(貫通)/●しらさぎ色 |
D12 | 現存 | 量産形(貫通)/●しらさぎ色(川重) |
D21 | 現存 | 量産形(貫通)/●更新色 |
D31 | 消滅 | 量産形(貫通)/●北越色 |
D32 | 消滅 | 量産形(貫通)/●北越色(新潟) |
5.各バリエーション解説
A02 | 試作形(非貫通)/●標準色 |
---|
先行試作車の量産化改造後の姿。量産化改造により、帯色は量産車と同一の標準色に変更、1000番台に区分された。2001年9月に6+3両編成に変更され、貫通形先頭車も登場した。キトW01編成、V01編成として使用されたが、2015年3月頃にしらさぎ色に変更され、この姿は一旦消滅した。2015年7月頃にW01編成が再度この塗装に変更されて使用されている。一方、V01編成はしらさぎ色のまま、廃車された。2019年9月にW01編成も運用離脱し、吹田工場に回送された。
A03 | 試作形(非貫通)/●しらさぎ色 |
---|
しらさぎ色に変更された先行試作車の姿。キトW01編成とV01編成は2015年3月頃にしらさぎ色に変更され、7月頃までこの姿だった。W01編成は塗装変更、V01編成は廃車により、この姿は消滅した。
B01 | 試作形(貫通)/●標準色 |
---|
先行試作車の貫通形先頭車の姿。2001年に6+3編成に変更され、先頭化改造により登場した。キトW01編成、V01編成として使用されたが、2015年3月頃にしらさぎ色に変更され、この姿は一旦消滅した。2015年7月頃にW01編成が再度この塗装に変更された。2019年に廃車され、この姿は消滅した。
B02 | 試作形(貫通)/●しらさぎ色 |
---|
しらさぎ色に変更された先行試作車の貫通形先頭車の姿。キトW01編成とV01編成は2015年3月頃にしらさぎ色に変更され、7月頃までこの姿だった。W01編成は塗装変更、V01編成は廃車により、この姿は消滅した。
C01 | 量産形(非貫通)/●標準色 |
---|
量産車の非貫通形先頭車の姿。JR西日本が保有する量産車は全車がこの塗装で落成されたが、2015年に一部がしらさぎ色に変更された。現在も一部車両がこの姿で使用されている。
C02 | 量産形(非貫通)/●しらさぎ色 |
---|
しらさぎ色に変更された量産車の非貫通形先頭車の姿。2015年に「はくたか」用の編成が「しらさぎ」に転用され、この塗装に変更された。現在もこの姿で使用されている。
C03 | 量産形(非貫通)/●更新色 |
---|
リニューアル後の非貫通形先頭車の姿。2018年にV11編成がリニューアルされ、塗装が変更された。現在もこの姿で使用されている。
C11 | 量産形(非貫通)/●北越色 |
---|
スノーラビット色の非貫通形先頭車の姿。北越急行が保有する2000番台はこの塗装であった。2015年にJR西日本に売却され、しらさぎ色に変更、この姿は消滅している。
D01 | 量産形(貫通)/●標準色 |
---|
量産車の貫通形先頭車の姿。JR西日本が保有する量産車は全車がこの塗装で製造されたが、2015年に一部がしらさぎ色に変更された。現在も一部車両がこの姿で使用されている。
D02 | 量産形(貫通)/●標準色(川重) |
---|
前面窓下の塗装が省略されている標準色の貫通形先頭車の姿。川崎重工業が製造した車両は前面窓下のグレー塗装が狭くなっている。現在も一部車両がこの姿で使用されている。
D11 | 量産形(貫通)/●しらさぎ色 |
---|
しらさぎ色に変更された貫通形先頭車の姿。2015年に「はくたか」用の編成が「しらさぎ」に転用され、この塗装に変更された。現在もこの姿で使用されている。
D12 | 量産形(貫通)/●しらさぎ色(川重) |
---|
前面窓下の塗装が省略されているしらさぎ色の貫通形先頭車の姿。川崎重工業が製造した車両は前面窓下のグレー塗装が狭くなっている。2015年に「はくたか」用の編成が「しらさぎ」に転用され、この塗装に変更された。現在もこの姿で使用されている。
D31 | 量産形(貫通)/●北越色 |
---|
スノーラビット色の貫通形先頭車の姿。北越急行が保有する2000番台はこの塗装であった。2015年にJR西日本に売却され、しらさぎ色に変更、この姿は消滅している。
D32 | 量産形(貫通)/●北越色(新潟) |
---|
スノーラビット色の新潟鐵工所が製造した貫通形先頭車の姿。北越急行が所有したN2編成は新潟鐵工所で製造された。編成中のクモハ681-2502のみ、前面窓回りが黒く塗装されていた(新潟鐵工所タイプ)。2015年にJR西日本に売却され、しらさぎ色に変更、この姿は消滅している。