国鉄417系/阿武隈急行A417系

国鉄417系/阿武隈急行A417系

《最終更新》 2017.08.25

1.概要

417系は国鉄が1978年から製造した近郊形交直流電車である。地方中核都市近郊の旅客輸送のサービス改善を目標にして設計された。前面形状こそ415系など従来の近郊形に準じたものであるが、側面はステップを備えた2ドアであり、車内のクロスシートはシートピッチを拡大するなど、新機軸が盛り込まれた。電源方式の異なる線区への広域的な投入に配慮し、直流と50Hz/60Hz交流の3電源に対応した。

仙台地区に3両編成5本が投入され、東北本線を中心に使用された。当初は鹿児島・宮崎地区、湖西・北陸地区、盛岡地区への投入も検討されたが、国鉄の財政状況から実現に至らなかった。仙台地区の3両編成5本はJR東日本に承継され、東北本線を中心に2007年まで使用されていた。

廃車後は3両編成1本(K4編成)が無車籍の訓練車として、仙台レールセンターで使用されているほか、3本は廃車解体された。残る1本(K1編成)は阿武隈急行に譲渡され、A417系として2008年から同線のラッシュ時を中心に運行を開始した。これも2016年に老朽化のため、運行を終えている。


2.外観の特徴

2.1.塗装の差異

417系国鉄色●国鉄色
落成当時の塗装であり、全車がこの塗装で製造された。401系から採用されている交直流電車の標準塗装である。全車が1990年頃までに東北色に変更された。


417系東北色東北色
仙台地区の電車に採用された塗装。白をベースに緑帯をまいてる。1985年に投入された715系1000番台に初めて採用され、455系などもこの塗装に変更された。417系も1990年7月から順次変更された。


A417系阿武隈色
阿武隈急行の車両に施される塗装。白をベースに黄緑と水色の帯である。阿武隈急行8100系に準じた塗装である。


2.2.改造による差異

●冷房化改造
落成時は全車が非冷房であったが、417系は冷房搭載を見込んだ設計で製造された冷房準備車であった。そのため簡易的な改造で冷房装置が搭載された。1988年12月のセンK5編成から冷房化改造が開始された。

※行先表示器の交換
センK5編成は1987年頃から試験的に行先表示器を交換した。LED式と液晶式の行先表示器が試用されたが、1989年8月頃に幕式に復元された。

注)この特徴は以下のバリエーションに反映していない。


3.特徴マトリックス図

 
原形
冷房化改造
●国鉄色
東北色
阿武隈色
A01 A02
B01 B02 B03

4.バリエーション一覧

No.
現状
特徴

5.各バリエーション解説

A01 ●国鉄色

全車の登場時の姿。冷房化改造と塗装変更により、この姿は消滅した。

仙台運転所 クハ416-1
仙台運転所 クハ416-1
撮影日 CGによる再現
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A02 東北色

塗装変更後の姿。冷房化と塗装変更はほぼ同時期に行われたが、冷房化に先行して塗装変更が行われた編成も存在した。冷房化改造により消滅した。

仙台電車区 センK3編成
仙台電車区 センK3編成
撮影日 CGによる再現
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B01 ●国鉄色 [冷房改造]

冷房化改造後の姿。早期に冷房化改造が行われた編成はこの姿であった。塗装変更により消滅した。

仙台電車区 センK5編成
仙台電車区 センK5編成
撮影日 CGによる再現
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B02 東北色 [冷房改造]

冷房化改造と塗装変更後の姿。全編成の冷房化と塗装変更が完了すると、この姿に統一された。

仙台車両センター センK1編成
仙台車両センター センK1編成
撮影場所 陸前山王駅   撮影日 2008.03.22
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B03 阿武隈色 [冷房改造]

阿武隈急行A417系の姿。8100系に準じた塗装に変更されていた。2008年から運行を開始し、2016年に引退した。現在は車両基地に留置されている。

阿武隈急行 A417系
阿武隈急行 AT418+AM417-2+AM417-1
撮影場所 槻木駅   撮影日 2016.05.28
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