国鉄417系/阿武隈急行A417系
1.概要
417系は国鉄が1978年から製造した近郊形交直流電車である。地方中核都市近郊の旅客輸送のサービス改善を目標にして設計された。前面形状こそ415系など従来の近郊形に準じたものであるが、側面はステップを備えた2ドアであり、車内のクロスシートはシートピッチを拡大するなど、新機軸が盛り込まれた。電源方式の異なる線区への広域的な投入に配慮し、直流と50Hz/60Hz交流の3電源に対応した。
仙台地区に3両編成5本が投入され、東北本線を中心に使用された。当初は鹿児島・宮崎地区、湖西・北陸地区、盛岡地区への投入も検討されたが、国鉄の財政状況から実現に至らなかった。仙台地区の3両編成5本はJR東日本に承継され、東北本線を中心に2007年まで使用されていた。
廃車後は3両編成1本(K4編成)が無車籍の訓練車として、仙台レールセンターで使用されているほか、3本は廃車解体された。残る1本(K1編成)は阿武隈急行に譲渡され、A417系として2008年から同線のラッシュ時を中心に運行を開始した。これも2016年に老朽化のため、運行を終えている。
2.外観の特徴
2.1.塗装の差異
●国鉄色
落成当時の塗装であり、全車がこの塗装で製造された。401系から採用されている交直流電車の標準塗装である。全車が1990年頃までに東北色に変更された。
●東北色
仙台地区の電車に採用された塗装。白をベースに緑帯をまいてる。1985年に投入された715系1000番台に初めて採用され、455系などもこの塗装に変更された。417系も1990年7月から順次変更された。
●阿武隈色
阿武隈急行の車両に施される塗装。白をベースに黄緑と水色の帯である。阿武隈急行8100系に準じた塗装である。
2.2.改造による差異
●冷房化改造
落成時は全車が非冷房であったが、417系は冷房搭載を見込んだ設計で製造された冷房準備車であった。そのため簡易的な改造で冷房装置が搭載された。1988年12月のセンK5編成から冷房化改造が開始された。
※行先表示器の交換
センK5編成は1987年頃から試験的に行先表示器を交換した。LED式と液晶式の行先表示器が試用されたが、1989年8月頃に幕式に復元された。
注)この特徴は以下のバリエーションに反映していない。
3.特徴マトリックス図
4.バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | ●国鉄色 |
A02 | 消滅 | ●東北色 |
B01 | 消滅 | ●国鉄色 [冷房改造] |
B02 | 現存 | ●東北色 [冷房改造] |
B03 | 現存 | ●阿武隈色 [冷房改造] |
5.各バリエーション解説
B03 | ●阿武隈色 [冷房改造] |
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阿武隈急行A417系の姿。8100系に準じた塗装に変更されていた。2008年から運行を開始し、2016年に引退した。現在は車両基地に留置されている。