国鉄213系

国鉄213系

《最終更新》 2020.09.13

1.概要

213系は国鉄が1987年から製造した近郊形直流電車である。瀬戸大橋線の開業による快速マリンライナーでの運用を見据え、岡山地区に投入された。211系に準じた車体であるが、2扉で転換クロスシートを採用している。民営化後はJR西日本が承継し、瀬戸大橋線開業に合わせて展望型グリーン車の製造を行った。JR東海も関西本線の輸送改善のために213系を投入した。

JR西日本所属車は2003年に快速マリンライナーの運用から撤退し、短編成化のうえで岡山地区の山陽本線、赤穂線、伯備線、宇野線で活躍している。2016年に1編成を観光列車「ラ・マル・ド・ボア」に改造し、岡山地区のほか四国内にも乗り入れる。

JR東海所属車は2011年まで関西本線、中央本線で運用された。2012年に便所の設置など改造を受け、飯田線に転用された。


2.外観の特徴

2.1.車体構造の差異

西日本仕様車◆前期形
国鉄が岡山地区に投入した0番台が該当する。冷房装置は集中方式であり、前面表示器は415系1500番台と同様に横長型である。


東海仕様車◆中期形
JR東海が投入した5000番台のうち1989年に落成された車両(H01~H10編成)が該当する。冷房装置は分散方式であり、前面表示器は211系に準じた大型のものであるが、側面表示器は小型である。


◆後期形
JR東海が投入した5000番台のうち1990年に落成された車両(H11~H14編成)が該当する。側面表示器が大型であり、前面の列車番号表示器が省略されている点が特徴である。


◆展望グリーン車
JR西日本が快速マリンライナーの運行開始に合わせて投入したグリーン車が該当する。展望構造が特徴であり、車体は221系に似た鋼製である。0番台と1000番台が存在し、1000番台はスーパーサルーン「ゆめじ」に組み込まれている。


2.2.改造による差異

先頭車化改造車◆先頭化改造
2003年に快速マリンライナーの運用から撤退し、以後は岡山地区のローカル運用に転用された。先頭車のグリーン車を廃車の上で編成が短縮されたため、先頭車が不足した。そのため、中間車にを先頭車化改造を施した。切妻形で鋼製の先頭部が新設された。角形のライトユニットなど、従来車とは異なった外観を呈する。サハ213-7~-11を種車として、クハ212-101~-105に改造された。同時に後述のワンマン対応改造が施工されている。


◆ワンマン対応改造
岡山地区のローカル運用に転用された編成のうち、一部車両にワンマン対応改造が施された。外観上は戸袋窓の一部が閉塞され、出入口表示器が設置されている。


体質改善工事◆体質改善工事
2012年から2015年にかけてJR西日本所属車の全車に体質改善工事が施工された。外観上は行先表示器のLED化やスカートの強化改造が施されている。


◆スカート延長改造
JR東海の車両は、2009年頃からATS-PT車上子の保護のため、スカートの下部を延長(以下、延長形スカート)した。現在では全車に施されている。


2.3.塗装の差異

瀬戸内色瀬戸内色
国鉄が岡山地区に投入した車両に採用した塗装。青(青23号)と水色(青26号)の組合せであり、前者は民営化後にJR西日本のコーポレートカラー、後者はJR四国のコーポレートカラーになっている。現在も岡山地区で活躍している。


湘南色湘南色
JR東海が製造した車両に採用した塗装。211系と同一の湘南色である。


●展望グリーン車の塗装
JR西日本が瀬戸大橋線の開通に合わせて、1988年に投入した展望グリーン車(クロ212形)は、各車で異なる塗装を採用した。帯色は青帯と1両ごとに異なるアクセントが配されている。落成当時の各車の塗装はクロ212-1(桃色)、-2(黄色)、-3(青緑色)、-4(橙色)、-5(黄緑色)、-1001(ゆめじ色)であった。クロ212-1001はスーパーサルーン「ゆめじ」に組み込まれた車両であり、帯色はクロ212-1と同様の桃色であるが、塗装パターンが異なっていた。1997年にクロ212-5の塗装をクロ213-3と同様の青緑色に変更、黄緑色は消滅した。2001年にクロ212-3、-5にラッピングが施され、青緑色も消滅した。後に全車が引退により消滅した。


U@tech
2004年にJR西日本が改造した在来線技術試験車「U@tech」に施された塗装。「U@tech」はクヤ212-1、サヤ213-1、クモヤ223-9001の3両で構成されているが、クヤ212-1とサヤ213-1は、213系のクロ212-1とサハ213-1から改造されたものである。


ラ・マル・ド・ボァ●ラ・マル・ド・ボァ
2016年に岡山地区で運行を開始した観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」の車両に施されている塗装。クハ212-4とクモハ213-4を種車として改造され、改造後はクロ212-7004、クモロ213-7004になっている。


3.特徴マトリックス図

 
 


瀬戸内色
湘南色
U@tech
●ボァ
桃色
黄色
青緑色
橙色
黄緑色
ゆめじ色
前期形
前期形
前期形
前期形
前期形
前期形
中期形
中期形
後期形
後期形
展望形
 
  体質改善 ワンマン改造 ワンマン改造
先頭化改造
ワンマン改造
体質改善
ワンマン改造
先頭化改造
体質改善
延長スカ 延長スカ  
A01 A02 A11 A21 A12 A22
B01 B02 B11 B12
A31 C06
A41
C01
C02
C03  
C04  
C05  
C07  

4.バリエーション一覧

No.
現状
特徴

5.各バリエーション解説

A01 前期形/瀬戸内色

西日本仕様車の登場時の姿。2003年のワンマン対応改造により数を減らし、2015年の体質改善工事の完了をもって消滅した。

岡山電車区 オカC12編成
岡山電車区 オカC12編成
撮影場所 山陽本線(岡山駅―北長瀬駅)   撮影日 2012.07.30
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A02 前期形/瀬戸内色 [体質改善]

2012年以降の体質改善工事後の姿。ワンマン対応改造が施されず、登場時に姿を維持していた車両はこの姿になった。

岡山電車区 オカC06編成
岡山電車区 オカC06編成
撮影場所 高島駅   撮影日 2019.12.07
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A11 前期形/瀬戸内色 [ワンマン改造]

2003年のワンマン対応改造後の姿。戸袋窓の上部が閉塞され、出入口表示器が設置されている。2015年の体質改善工事の完了をもって消滅した。

岡山電車区 オカC09編成
岡山電車区 オカC09編成
撮影場所 岡山駅   撮影日 2012.07.29
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A12 前期形/瀬戸内色 [ワンマン改造][体質改善]

2012年以降の体質改善工事後の姿。ワンマン対応改造施工車はこの姿になった。

岡山電車区 オカC11編成
岡山電車区 オカC11編成
撮影場所 高島駅   撮影日 2019.12.07
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A21 前期形/瀬戸内色 [ワンマン改造][先頭化改造]

2003年の先頭車化改造後の姿。同時にワンマン対応改造も施されている。2015年の体質改善工事の完了をもって消滅した。

高崎車両センター タカA27編成
岡山電車区 オカC9編成
撮影場所 山陽本線(岡山駅―北長瀬駅)   撮影日 2012.07.30
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A22 前期形/瀬戸内色 [ワンマン改造][先頭化改造][体質改善]

2012年以降の体質改善工事後の姿。先頭化改造施工車はこの姿になった。

岡山電車区 オカC10編成
岡山電車区 オカC10編成
撮影場所 岡山駅   撮影日 2019.12.07
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A31 前期形/U@tech

2004年に改造された「U@tech」のサヤ213-1の姿。中間車のみ存在した。2019年に廃車され、この姿は消滅した。

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A41 前期形/●ラ・マル・ド・ボァ [体質改善]

2016年に改造された観光列車「ラ・マル・ド・ボア」の姿。体質改善施工済だったオカC04編成の内装を中心に改造し、車体装飾はラッピングによるものである。

岡山電車区 オカLA1編成
岡山電車区 オカLA1編成
撮影場所 岡山駅   撮影日 2016.08.19
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B01 中期形/湘南色

東海仕様車の前期車の登場時の姿。2009年頃のスカート延長改造により消滅した。

神領車両区 シンH2編成
神領車両区 シンH2編成
撮影場所 名古屋駅   撮影日 2007.11.23
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B02 中期形/湘南色 [延長形スカート]

東海仕様車の前期車のスカート延長改造後の姿。

大垣車両区 カキH5編成
大垣車両区 カキH5編成
撮影場所 豊橋駅   撮影日 2020.07.12
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B11 後期形/湘南色

東海仕様車の後期車の登場時の姿。2009年頃のスカート延長改造により消滅した。

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B12 後期形/湘南色 [延長形スカート]

東海仕様車の後期車のスカート延長改造後の姿。

大垣車両区 カキH14編成
大垣車両区 カキH14編成
撮影場所 豊川駅付近   撮影日 2019.09.21
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C01 展望形/桃色

クロ212-1の姿。帯色は桃色である。快速マリンライナー運用からの撤退により引退、在来線技術試験車「U@tech」に改造された。

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C02 展望形/黄色

クロ212-2の姿。帯色は黄色である。快速マリンライナー運用からの撤退により引退、消滅した。

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C03 展望形/青緑色

クロ212-3の姿。また、1997年以降のクロ212-5の姿。帯色は青緑色である。2001年に2両ともラッピングが施されて消滅した。

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C04 展望形/橙色

クロ212-4の姿。帯色は橙色である。快速マリンライナー運用からの撤退により引退、消滅した。

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C05 展望形/黄緑色

クロ212-5の姿。帯色は黄緑色である。1997年に帯色が青緑色に変更され、消滅した。

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C06 展望形/U@tech

2004年に改造された「U@tech」のクヤ212-1の姿。2019年に廃車され、この姿は消滅した。

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C07 展望形/ゆめじ色

クロ212-1001の姿。帯色はクロ212-1と同様の桃色であるが、塗装パターンが異なっている。スーパーサルーン「ゆめじ」として2010年まで使用され、引退により消滅した。

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