国鉄213系
1.概要
213系は国鉄が1987年から製造した近郊形直流電車である。瀬戸大橋線の開業による快速マリンライナーでの運用を見据え、岡山地区に投入された。211系に準じた車体であるが、2扉で転換クロスシートを採用している。民営化後はJR西日本が承継し、瀬戸大橋線開業に合わせて展望型グリーン車の製造を行った。JR東海も関西本線の輸送改善のために213系を投入した。
JR西日本所属車は2003年に快速マリンライナーの運用から撤退し、短編成化のうえで岡山地区の山陽本線、赤穂線、伯備線、宇野線で活躍している。2016年に1編成を観光列車「ラ・マル・ド・ボア」に改造し、岡山地区のほか四国内にも乗り入れる。
JR東海所属車は2011年まで関西本線、中央本線で運用された。2012年に便所の設置など改造を受け、飯田線に転用された。
2.外観の特徴
2.1.車体構造の差異
◆前期形
国鉄が岡山地区に投入した0番台が該当する。冷房装置は集中方式であり、前面表示器は415系1500番台と同様に横長型である。
◆中期形
JR東海が投入した5000番台のうち1989年に落成された車両(H01~H10編成)が該当する。冷房装置は分散方式であり、前面表示器は211系に準じた大型のものであるが、側面表示器は小型である。
◆後期形
JR東海が投入した5000番台のうち1990年に落成された車両(H11~H14編成)が該当する。側面表示器が大型であり、前面の列車番号表示器が省略されている点が特徴である。
◆展望グリーン車
JR西日本が快速マリンライナーの運行開始に合わせて投入したグリーン車が該当する。展望構造が特徴であり、車体は221系に似た鋼製である。0番台と1000番台が存在し、1000番台はスーパーサルーン「ゆめじ」に組み込まれている。
2.2.改造による差異
◆先頭化改造
2003年に快速マリンライナーの運用から撤退し、以後は岡山地区のローカル運用に転用された。先頭車のグリーン車を廃車の上で編成が短縮されたため、先頭車が不足した。そのため、中間車にを先頭車化改造を施した。切妻形で鋼製の先頭部が新設された。角形のライトユニットなど、従来車とは異なった外観を呈する。サハ213-7~-11を種車として、クハ212-101~-105に改造された。同時に後述のワンマン対応改造が施工されている。
◆ワンマン対応改造
岡山地区のローカル運用に転用された編成のうち、一部車両にワンマン対応改造が施された。外観上は戸袋窓の一部が閉塞され、出入口表示器が設置されている。
◆体質改善工事
2012年から2015年にかけてJR西日本所属車の全車に体質改善工事が施工された。外観上は行先表示器のLED化やスカートの強化改造が施されている。
◆スカート延長改造
JR東海の車両は、2009年頃からATS-PT車上子の保護のため、スカートの下部を延長(以下、延長形スカート)した。現在では全車に施されている。
2.3.塗装の差異
●瀬戸内色
国鉄が岡山地区に投入した車両に採用した塗装。青(青23号)と水色(青26号)の組合せであり、前者は民営化後にJR西日本のコーポレートカラー、後者はJR四国のコーポレートカラーになっている。現在も岡山地区で活躍している。
●湘南色
JR東海が製造した車両に採用した塗装。211系と同一の湘南色である。
●展望グリーン車の塗装
JR西日本が瀬戸大橋線の開通に合わせて、1988年に投入した展望グリーン車(クロ212形)は、各車で異なる塗装を採用した。帯色は青帯と1両ごとに異なるアクセントが配されている。落成当時の各車の塗装はクロ212-1(●桃色)、-2(●黄色)、-3(●青緑色)、-4(●橙色)、-5(●黄緑色)、-1001(●ゆめじ色)であった。クロ212-1001はスーパーサルーン「ゆめじ」に組み込まれた車両であり、帯色はクロ212-1と同様の桃色であるが、塗装パターンが異なっていた。1997年にクロ212-5の塗装をクロ213-3と同様の青緑色に変更、黄緑色は消滅した。2001年にクロ212-3、-5にラッピングが施され、青緑色も消滅した。後に全車が引退により消滅した。
●U@tech
2004年にJR西日本が改造した在来線技術試験車「U@tech」に施された塗装。「U@tech」はクヤ212-1、サヤ213-1、クモヤ223-9001の3両で構成されているが、クヤ212-1とサヤ213-1は、213系のクロ212-1とサハ213-1から改造されたものである。
●ラ・マル・ド・ボァ
2016年に岡山地区で運行を開始した観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」の車両に施されている塗装。クハ212-4とクモハ213-4を種車として改造され、改造後はクロ212-7004、クモロ213-7004になっている。
3.特徴マトリックス図
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●瀬戸内色 |
●桃色 |
●黄色 |
●青緑色 |
●橙色 |
●黄緑色 |
●ゆめじ色 |
前期形
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前期形
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前期形
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前期形
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前期形
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前期形
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中期形
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中期形
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後期形
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後期形
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展望形
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体質改善 | ワンマン改造 | ワンマン改造 先頭化改造 |
ワンマン改造 体質改善 |
ワンマン改造 先頭化改造 体質改善 |
延長スカ | 延長スカ | |||||
A01 | A02 | A11 | A21 | A12 | A22 | ― | ― | ― | ― | ― | |
― | ― | ― | ― | ― | ― | B01 | B02 | B11 | B12 | ― | |
A31 | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | C06 | |
― | A41 | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | |
― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | C01 | |
― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | C02 | |
― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | C03 | |
― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | C04 | |
― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | C05 | |
― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | C07 |
4.バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 前期形/●瀬戸内色 |
A02 | 現存 | 前期形/●瀬戸内色 [体質改善] |
A11 | 消滅 | 前期形/●瀬戸内色 [ワンマン改造] |
A12 | 現存 | 前期形/●瀬戸内色 [ワンマン改造][体質改善] |
A21 | 消滅 | 前期形/●瀬戸内色 [ワンマン改造][先頭化改造] |
A22 | 現存 | 前期形/●瀬戸内色 [ワンマン改造][先頭化改造][体質改善] |
A31 | 消滅 | 前期形/●U@tech |
A41 | 現存 | 前期形/●ラ・マル・ド・ボァ [体質改善] |
B01 | 消滅 | 中期形/●湘南色 |
B02 | 消滅 | 中期形/●湘南色 [延長形スカート] |
B11 | 現存 | 後期形/●湘南色 |
B12 | 現存 | 後期形/●湘南色 [延長形スカート] |
C01 | 消滅 | 展望形/●桃色 |
C02 | 消滅 | 展望形/●黄色 |
C03 | 消滅 | 展望形/●青緑色 |
C04 | 消滅 | 展望形/●橙色 |
C05 | 消滅 | 展望形/●黄緑色 |
C06 | 消滅 | 展望形/●U@tech |
C07 | 消滅 | 展望形/●ゆめじ色 |
5.各バリエーション解説
A01 | 前期形/●瀬戸内色 |
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西日本仕様車の登場時の姿。2003年のワンマン対応改造により数を減らし、2015年の体質改善工事の完了をもって消滅した。
A02 | 前期形/●瀬戸内色 [体質改善] |
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2012年以降の体質改善工事後の姿。ワンマン対応改造が施されず、登場時に姿を維持していた車両はこの姿になった。
A11 | 前期形/●瀬戸内色 [ワンマン改造] |
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2003年のワンマン対応改造後の姿。戸袋窓の上部が閉塞され、出入口表示器が設置されている。2015年の体質改善工事の完了をもって消滅した。
A21 | 前期形/●瀬戸内色 [ワンマン改造][先頭化改造] |
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2003年の先頭車化改造後の姿。同時にワンマン対応改造も施されている。2015年の体質改善工事の完了をもって消滅した。
A22 | 前期形/●瀬戸内色 [ワンマン改造][先頭化改造][体質改善] |
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2012年以降の体質改善工事後の姿。先頭化改造施工車はこの姿になった。
A41 | 前期形/●ラ・マル・ド・ボァ [体質改善] |
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2016年に改造された観光列車「ラ・マル・ド・ボア」の姿。体質改善施工済だったオカC04編成の内装を中心に改造し、車体装飾はラッピングによるものである。
C07 | 展望形/●ゆめじ色 |
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クロ212-1001の姿。帯色はクロ212-1と同様の桃色であるが、塗装パターンが異なっている。スーパーサルーン「ゆめじ」として2010年まで使用され、引退により消滅した。