国鉄119系

国鉄201系

《最終更新》 2020.02.16

1.概要

201系は、国鉄が1979年から製造した通勤形直流電車である。長らく製造が続いた103系に代わる次世代の通勤形電車として新機軸を盛り込み、「省エネ電車」として設計された。

1979年に5+5両編成1本が試作車として製造され、各種試験のうえで中央快速線に投入された。1981年から量産車の製造が始まり、中央快速線のほか、中央・総武緩行線、京阪神緩行線に投入された。最終的に1985年までに1,080両が製造された。以後は製造費のコストダウンを図った205系の製造に移行した。

民営化後はJR東日本とJR西日本が承継し、JR東日本の車両は2011年までに運行を終了した。JR西日本は大和路線、おおさか東線で運行している。

以下、201系の姿について解説する。


2.外観の特徴

2.1.車体構造の差異

201系 試作車◆試作形
1979年製造された5+5両編成1本が該当する。東急車輛製造と日本車輌製造で5両ずつ製造された。後の量産車とは、走行装置が異なるほか、床面高さ、戸袋窓、前面窓、先頭車の車体長などが異なる。当初の前面手すりは小さなものであったが、1983年の量産化改造時に量産車に準じたものに変更された。 前面の運行番号表示器まわりの塗装も異なり、東急製が濃いグレー、日車製が淡いグレーであった。後に淡いグレーに統一された。


201系量産車◆量産車
1981年から1985年にかけて製造された車両が該当する。試作車の結果を踏まえた設計変更が行われた。増備途中にも改良が加えられ、冷房装置、台車、側窓など、主にコストダウンを目的とした設計変更が行われたが、外観には大きな差異はない。


2.2.改造による差異

スカート設置◆スカート設置
床下機器の保護を目的として前面にスカートが設置された。JR東日本の車両は1992年から1995年度にかけて、グレー色のスカート(以下、東スカート)が設置された。JR西日本の車両は1991年度に形状の異なる黒色のスカート(以下、西スカート)が設置された。


電照式種別表示器◆電照式種別表示器
1992年に中央快速線の車両に電照式種別表示器が設置された。対象は1号車と10号車の先頭車であった。これまでの前面種別板と同様に使用された。


◆通風器撤去
JR西日本の車両は2002年から通風器が撤去された。一部編成は体質改善工事と同時に施工された。


体質改善工事◆体質改善工事
JR西日本の車両は2003年から体質改善工事が全車に施された。雨樋や側窓、前照灯、内装など大規模な更新が行われた。


強化形スカート◆スカート強化改造
JR西日本の車両は2005年頃にスカートが強化形に改造された。全車に施工された。


LED式行先表示器◆LED式行先表示器
JR西日本の車両は行先表示器がLED式に変更されている。2012年11月から交換が始まり、現在では全車両で交換が完了している。


◆「四季彩」改造工事
2001年に豊田電車区で訓練車として使用されていた4両編成1本を展望型電車に改造し、主に青梅線に投入した。青梅線内で多摩川に面する海側の側窓を大型の固定窓に変更し、座席はボックス席に変更している。4号車のみ海側を望む折り畳み座席を設置している。同時に塗装も変更された。


2.3.塗装の差異

朱色朱色(オレンジバーミリオン)
中央快速線と大阪環状線の車両に施された塗装。101系や103系と同じ朱色1号である。中央快速線では1979年から2010年まで使用されていた。大阪環状線では2005年に京阪神緩行線から転入して運行を開始した。一時期は武蔵野線でも使用された。


201系 中央・総武緩行線黄色(カナリアイエロー)
中央・総武緩行線の車両に施された塗装。同線の101系や103系と同じ、黄5号である。1982年から運行を開始し、2001年まで使用された。


青色青色(スカイブルー)
京阪神緩行線と京葉線の車両に施された塗装。103系と同じ青22号である。京阪神緩行線では1983年から2007年まで使用され、後に転用された大阪環状線でも2008年に塗装が変更されるまでこの塗装で使用された。京葉線では2000年に中央・総武緩行線から転入した車両が運行を開始し、2011年まで使用された。


関西線色関西線色
大和路線やおおさか東線の車両に施された塗装。同線の103系と同様に黄緑6号であり、前面に白帯をまいている。2006年に京阪神緩行線から転入したことで運行を開始した。


201系四季彩旧四季彩色
展望型電車「四季彩」の塗装。2001年8月に豊田電車区で訓練車として使用されていた4両編成1本を展望型電車に改造し、主に青梅線に投入した。車両ごとにベース色が異なり、4号車は緑、3号車は青、2号車は黄、1号車は紫である。同年11月に「四季彩」の愛称が与えられ、各車に季節の花のイラストが追加された。2005年に塗装が変更され、この塗装は消滅した。


201系四季彩新四季彩色
展望型電車「四季彩」の2005年以降の塗装。2001年に改造された展望形電車「四季彩」は、2005年にリニューアルにより塗装を変更した。塗装は白がベースであり、下半分に青いストライプとイラストのラッピングが施されている。2009年に廃車され、この塗装は消滅した。


201系USJラッピング※USJラッピング
2001年から103系に施されていたUSJのラッピングが201系にも施された。2012年10月にモリLB6編成、2013年1月にモリLB15編成に編成ごとに異なる車体ラッピングが施されている。下地は白に塗装されている。


3.特徴マトリックス図

 
 
 
 
朱色
黄色
青色
関西色
旧四季彩
新四季彩
試作形 量産形  
東スカート 西スカート 西強化スカート  
前面表示器 前面表示器 通風器撤去 体質改善 通風器撤去 体質改善  
LED
 
A01 B01 B21 B11 B22 B52 B61
A02 B02 B12
A03 B03 B13 B31 B32 B33 B41 B42 B51
B53 B62
B14
B15

4.バリエーション一覧

No.
現状
特徴

5.各バリエーション解説

A01 試作形/朱色

試作車の登場時の姿。1979年に試作車として、5両編成が東急車輛製造と日本車輌製造で1本ずつ製造された。車体色は朱色であり、中央快速線に投入された。前面の運行番号表示器まわりの塗装は東急製が濃グレー、日車製が淡グレーである。

1983年に量産化改造が施工され、前面手すりが量産車に準じたものに変更された。1980年代後半に中央・総武緩行線に転用され、塗装変更によりこの姿は消滅した。

三鷹電車区 クモハ200-902
三鷹電車区 クモハ200-902
撮影日 CGによる再現
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A02 試作形/黄色

中央・総武緩行線の試作車の姿。新製時から三鷹電車区に所属し、中央快速線で運用されたが、1980年代後半に中央・総武緩行線に転用された。塗装が変更され、この姿になった。

当初は900番台のみで構成された7+3両編成で使用されていたが、後に量産車の中間に組み込まれ、先頭車は中間車代用として使用されていた。晩年はミツ9編成とミツ10編成に組みこまれていた。2001年までに京葉線に転用され、この姿は消滅した。

三鷹電車区 ミツ10編成
三鷹電車区 ミツ10編成
撮影日 CGによる再現
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A03 試作形/青色

京葉線の試作車の姿。2001年までに中央・総武緩行線から転用され、ケヨ72編成とケヨ73編成の中間車として使用されていた。運行番号は白表示であり、前面方向幕は撤去されていた。2005年10月に編成中の試作車のみが廃車され、この姿は消滅した。

京葉車両センター クモハ200-901
京葉車両センター クモハ200-901
撮影日 CGによる再現
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B01 量産形/朱色

朱色の量産車の姿。1981年から製造された中央快速線の量産車はこの姿であった。1986年から1996年まで武蔵野線で使用された車両も同様であった。

中央快速線の特別快速として運用される際には、前面に大型の表示板を取り付けたが、1987年から表示板を挿入する表示板差しが設置された。1992年から1995年にかけて全車にスカートが設置され、この姿は消滅した。

三鷹電車区 クハ200-6
三鷹電車区 クハ200-6
撮影日 CGによる再現
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B02 量産形/黄色

中央・総武緩行線の量産車の姿。中央・総武緩行線への新製投入は1982年から開始され、一部編成は中央快速線から転用された。1992年から1995年にかけて全車にスカートが設置され、この姿は消滅した。

中野電車区 カノ6編成
中野電車区 カノ6編成
撮影日 CGによる再現
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B03 量産形/青色

京阪神緩行線の量産車の姿。同線には1982年12月から7両編成32本が投入された。1991年度にスカートが設置され、この姿は消滅した。

高槻電車区 クハ200-61
高槻電車区 クハ200-61
撮影日 CGによる再現
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B11 量産形/朱色 [東スカート]

スカート設置後の朱色の量産車の姿。1992年から1995年にかけてスカートが設置され、中央快速線や青梅・五日市線の車両がこの姿であった。

1992年から中央快速線の車両の1号車と10号車に電照式種別表示器が設置され、以降の中央快速線の車両では分割編成の6号車と7号車がこの姿だった。青梅・五日市線の車両は2000年から中央・総武緩行線の車両が転用されたもので、塗装変更や前面にステッカーが貼られていた。2010年までに撤退、廃車によりこの姿は消滅した。

豊田電車区 トタ青1編成
豊田電車区 トタ青1編成
撮影日 CGによる再現
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B12 量産形/黄色 [東スカート]

スカート設置後の中央・総武緩行線の量産車の姿。1992年から1995年にかけてスカートが設置された。2001年に同線から撤退し、京葉線や青梅・五日市線に転用された。

東中野列車追突事故の当該編成であったクハ201-3のみがこの姿で残存し、2005年12月まで保留車として存在した。同車の廃車により、この姿は消滅した。

三鷹電車区 ミツ14編成
三鷹電車区 ミツ14編成
撮影日 CGによる再現
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B13 量産形/青色 [東スカート]

京葉線の量産車の姿。2000年に中央・総武緩行線から転入した。2010年に同線から撤退し、廃車によりこの姿は消滅した。

京葉車両センター ケヨ54編成
京葉車両センター ケヨ54編成
撮影場所 新木場駅   撮影日 2011.06.11
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B14 量産形/旧四季彩 [東スカート]

2001年に改造された展望型電車「四季彩」の姿。豊田電車区の余剰車の内外装を更新し、青梅線に投入された。8月から「展望電車」として運行を開始し、11月に「四季彩」と命名された。同時に車体に季節の花のラッピングが追加された。2005年5月にリニューアルにより、この塗装は消滅した。

豊田電車区 クハ200-134
豊田電車区 クハ200-134
撮影日 CGによる再現
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B15 量産形/新四季彩 [東スカート]

「四季彩」のリニューアル後の姿。2001年に改造された展望電車「四季彩」は、2005年のリニューアルによって塗装が変更された。2009年に廃車され、この姿は消滅した。

豊田車両センター トタW1編成
豊田車両センター トタW1編成
撮影場所 三鷹駅   撮影日 2009.07.05
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B21 量産形/朱色 [前面表示器]

電照式種別表示器を設置した中央快速線の量産車の姿。1992年に前面表示板に代わって、電照式種別表示器が設置された。初期に取り付けられた編成はスカート未装備であった。1992年から1995年にかけてスカートが設置され、この姿は消滅した。

武蔵小金井電車区 ムコH1編成
武蔵小金井電車区 ムコH1編成
撮影日 CGによる再現
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B22 量産形/朱色 [東スカート][前面表示器]

電照式種別表示器とスカートを設置した中央快速線の量産車の姿。1992年から1995年にかけて、電照式種別表示器とスカートが順次設置された。2010年までに引退し、現在はクハ201-1が豊田車両センターで保管されている。

豊田電車区 トタT104編成
豊田電車区 トタT104編成
撮影場所 御茶ノ水駅   撮影日 2007.04.13
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B31 量産形/青色 [西スカート]

スカート設置後の京阪神緩行線の量産車の姿。1991年度にスカートが設置された。2005年にスカートが強化形に変更され、この姿は消滅した。

明石電車区 アカC25編成
明石電車区 アカC25編成
撮影日 CGによる再現
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B32 量産形/青色 [西スカート][通風器撤去]

通風器撤去後の京阪神緩行線の量産車の姿。2002年から一部編成の通風器が撤去された。2005年にスカートが強化形に変更され、この姿は消滅した。

明石電車区 アカC18編成
明石電車区 アカC18編成
撮影日 CGによる再現
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B33 量産形/青色 [西スカート][体質改善]

体質改善工事後の京阪神緩行線の量産車の姿。2003年から体質改善工事が施工されている。雨樋や側窓、前照灯、内装が更新されている。2005年にスカートが強化形に変更され、この姿は消滅した。

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B41 量産形/青色 [西強化スカート]

強化形スカートの京阪神緩行線の量産車の姿。2005年に強化形スカートに変更された。2002年から通風器の撤去が進行したが、アカC3編成とC31編成は同線からの撤退まで施工されなかった。2007年までに同線から撤退し、体質改善工事を施工の上で他線に転用され、この姿は消滅した。

明石電車区 アカC31編成
明石電車区 アカC31編成
撮影日 CGによる再現
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B42 量産形/青色 [西強化スカート][通風器撤去]

強化形スカート改造後の京阪神緩行線の通風器撤去車の姿。2005年に強化形スカートに変更された。2007年までに同線から撤退し、体質改善工事を施工の上で他線に転用され、この姿は消滅した。

明石電車区 アカC32編成
明石電車区 アカC32編成
撮影日 CGによる再現
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B51 量産形/青色 [西強化スカート][体質改善]

強化形スカート改造後の青色の体質改善工事施工車の姿。2005年に強化形スカートに変更された。京阪神緩行線で2007年まで使用され、撤退後は大阪環状線に転用された。2005年に大阪環状線に最初に転入したモリ202編成は2008年まで青色で使用され、同編成の塗装変更により、この姿は消滅した。

森ノ宮電車区 モリ202編成
森ノ宮電車区 モリ202編成
撮影場所 天満駅   撮影日 2007.04.20
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B52 量産形/朱色 [西強化スカート][体質改善]

大阪環状線の体質改善工事施工車の姿。2005年から2007年にかけて、8両編成16本が京阪神緩行線から転入した。2012年から行先表示器がLED式に変更され、この姿は消滅した。

森ノ宮電車区 モリ209編成
森ノ宮電車区 モリ209編成
撮影場所 大阪駅   撮影日 2007.04.20
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B53 量産形/関西線 [西強化スカート][体質改善]

関西線の体質改善工事施工車の姿。2006年から2007年にかけて、6両編成16本が京阪神緩行線から転入した。2012年から行先表示器がLED式に変更され、この姿は消滅した。

奈良電車区 ナラND602編成
奈良電車区 ナラND602編成
撮影場所 王寺駅   撮影日 2012.12.29
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B61 量産形/朱色 [西強化スカート][体質改善][LED]

LED式行先表示器に変更された大阪環状線の体質改善工事施工車の姿。2012年から行先表示器がLED式に変更された。2019年に同線から撤退し、この姿は消滅した。

森ノ宮電車区 モリLB9編成
森ノ宮電車区 モリLB9編成
撮影場所 野田駅   撮影日 2015.12.27
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B62 量産形/関西線 [西強化スカート][体質改善][LED]

LED式行先表示器に変更された関西線の体質改善工事施工車の姿。2012年から行先表示器がLED式に変更された。現在もこの姿で使用されている。

奈良電車区 ナラND610編成
奈良電車区 ナラND610編成
撮影場所 天王寺駅   撮影日 2015.08.17
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