国鉄201系
1.概要
201系は、国鉄が1979年から製造した通勤形直流電車である。長らく製造が続いた103系に代わる次世代の通勤形電車として新機軸を盛り込み、「省エネ電車」として設計された。
1979年に5+5両編成1本が試作車として製造され、各種試験のうえで中央快速線に投入された。1981年から量産車の製造が始まり、中央快速線のほか、中央・総武緩行線、京阪神緩行線に投入された。最終的に1985年までに1,080両が製造された。以後は製造費のコストダウンを図った205系の製造に移行した。
民営化後はJR東日本とJR西日本が承継し、JR東日本の車両は2011年までに運行を終了した。JR西日本は大和路線、おおさか東線で運行している。
以下、201系の姿について解説する。
2.外観の特徴
2.1.車体構造の差異
◆試作形
1979年製造された5+5両編成1本が該当する。東急車輛製造と日本車輌製造で5両ずつ製造された。後の量産車とは、走行装置が異なるほか、床面高さ、戸袋窓、前面窓、先頭車の車体長などが異なる。当初の前面手すりは小さなものであったが、1983年の量産化改造時に量産車に準じたものに変更された。
前面の運行番号表示器まわりの塗装も異なり、東急製が濃いグレー、日車製が淡いグレーであった。後に淡いグレーに統一された。
◆量産車
1981年から1985年にかけて製造された車両が該当する。試作車の結果を踏まえた設計変更が行われた。増備途中にも改良が加えられ、冷房装置、台車、側窓など、主にコストダウンを目的とした設計変更が行われたが、外観には大きな差異はない。
2.2.改造による差異
◆スカート設置
床下機器の保護を目的として前面にスカートが設置された。JR東日本の車両は1992年から1995年度にかけて、グレー色のスカート(以下、東スカート)が設置された。JR西日本の車両は1991年度に形状の異なる黒色のスカート(以下、西スカート)が設置された。
◆電照式種別表示器
1992年に中央快速線の車両に電照式種別表示器が設置された。対象は1号車と10号車の先頭車であった。これまでの前面種別板と同様に使用された。
◆通風器撤去
JR西日本の車両は2002年から通風器が撤去された。一部編成は体質改善工事と同時に施工された。
◆体質改善工事
JR西日本の車両は2003年から体質改善工事が全車に施された。雨樋や側窓、前照灯、内装など大規模な更新が行われた。
◆スカート強化改造
JR西日本の車両は2005年頃にスカートが強化形に改造された。全車に施工された。
◆LED式行先表示器
JR西日本の車両は行先表示器がLED式に変更されている。2012年11月から交換が始まり、現在では全車両で交換が完了している。
◆「四季彩」改造工事
2001年に豊田電車区で訓練車として使用されていた4両編成1本を展望型電車に改造し、主に青梅線に投入した。青梅線内で多摩川に面する海側の側窓を大型の固定窓に変更し、座席はボックス席に変更している。4号車のみ海側を望む折り畳み座席を設置している。同時に塗装も変更された。
2.3.塗装の差異
●朱色(オレンジバーミリオン)
中央快速線と大阪環状線の車両に施された塗装。101系や103系と同じ朱色1号である。中央快速線では1979年から2010年まで使用されていた。大阪環状線では2005年に京阪神緩行線から転入して運行を開始した。一時期は武蔵野線でも使用された。
●黄色(カナリアイエロー)
中央・総武緩行線の車両に施された塗装。同線の101系や103系と同じ、黄5号である。1982年から運行を開始し、2001年まで使用された。
●青色(スカイブルー)
京阪神緩行線と京葉線の車両に施された塗装。103系と同じ青22号である。京阪神緩行線では1983年から2007年まで使用され、後に転用された大阪環状線でも2008年に塗装が変更されるまでこの塗装で使用された。京葉線では2000年に中央・総武緩行線から転入した車両が運行を開始し、2011年まで使用された。
●関西線色
大和路線やおおさか東線の車両に施された塗装。同線の103系と同様に黄緑6号であり、前面に白帯をまいている。2006年に京阪神緩行線から転入したことで運行を開始した。
●旧四季彩色
展望型電車「四季彩」の塗装。2001年8月に豊田電車区で訓練車として使用されていた4両編成1本を展望型電車に改造し、主に青梅線に投入した。車両ごとにベース色が異なり、4号車は緑、3号車は青、2号車は黄、1号車は紫である。同年11月に「四季彩」の愛称が与えられ、各車に季節の花のイラストが追加された。2005年に塗装が変更され、この塗装は消滅した。
●新四季彩色
展望型電車「四季彩」の2005年以降の塗装。2001年に改造された展望形電車「四季彩」は、2005年にリニューアルにより塗装を変更した。塗装は白がベースであり、下半分に青いストライプとイラストのラッピングが施されている。2009年に廃車され、この塗装は消滅した。
※USJラッピング
2001年から103系に施されていたUSJのラッピングが201系にも施された。2012年10月にモリLB6編成、2013年1月にモリLB15編成に編成ごとに異なる車体ラッピングが施されている。下地は白に塗装されている。
3.特徴マトリックス図
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●朱色 |
●旧四季彩 |
●新四季彩 |
4.バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | 試作形/●朱色 |
A02 | 消滅 | 試作形/●黄色 |
A03 | 消滅 | 試作形/●青色 |
B01 | 消滅 | 量産形/●朱色 |
B02 | 消滅 | 量産形/●黄色 |
B03 | 消滅 | 量産形/●青色 |
B11 | 消滅 | 量産形/●朱色 [東スカート] |
B12 | 消滅 | 量産形/●黄色 [東スカート] |
B13 | 消滅 | 量産形/●青色 [東スカート] |
B14 | 消滅 | 量産形/●旧四季彩 [東スカート] |
B15 | 消滅 | 量産形/●新四季彩 [東スカート] |
B21 | 消滅 | 量産形/●朱色 [前面表示器] |
B22 | 現存 | 量産形/●朱色 [東スカート][前面表示器] |
B31 | 消滅 | 量産形/●青色 [西スカート] |
B32 | 消滅 | 量産形/●青色 [西スカート][通風器撤去] |
B33 | 消滅 | 量産形/●青色 [西スカート][体質改善] |
B41 | 消滅 | 量産形/●青色 [西強化スカート] |
B42 | 消滅 | 量産形/●青色 [西強化スカート][通風器撤去] |
B51 | 消滅 | 量産形/●青色 [西強化スカート][体質改善] |
B52 | 消滅 | 量産形/●朱色 [西強化スカート][体質改善] |
B53 | 消滅 | 量産形/●関西色 [西強化スカート][体質改善] |
B61 | 消滅 | 量産形/●朱色 [西強化スカート][体質改善][LED] |
B62 | 現存 | 量産形/●関西色 [西強化スカート][体質改善][LED] |
5.各バリエーション解説
A01 | 試作形/●朱色 |
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試作車の登場時の姿。1979年に試作車として、5両編成が東急車輛製造と日本車輌製造で1本ずつ製造された。車体色は朱色であり、中央快速線に投入された。前面の運行番号表示器まわりの塗装は東急製が濃グレー、日車製が淡グレーである。
1983年に量産化改造が施工され、前面手すりが量産車に準じたものに変更された。1980年代後半に中央・総武緩行線に転用され、塗装変更によりこの姿は消滅した。
A02 | 試作形/●黄色 |
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中央・総武緩行線の試作車の姿。新製時から三鷹電車区に所属し、中央快速線で運用されたが、1980年代後半に中央・総武緩行線に転用された。塗装が変更され、この姿になった。
当初は900番台のみで構成された7+3両編成で使用されていたが、後に量産車の中間に組み込まれ、先頭車は中間車代用として使用されていた。晩年はミツ9編成とミツ10編成に組みこまれていた。2001年までに京葉線に転用され、この姿は消滅した。
A03 | 試作形/●青色 |
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京葉線の試作車の姿。2001年までに中央・総武緩行線から転用され、ケヨ72編成とケヨ73編成の中間車として使用されていた。運行番号は白表示であり、前面方向幕は撤去されていた。2005年10月に編成中の試作車のみが廃車され、この姿は消滅した。
B01 | 量産形/●朱色 |
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朱色の量産車の姿。1981年から製造された中央快速線の量産車はこの姿であった。1986年から1996年まで武蔵野線で使用された車両も同様であった。
中央快速線の特別快速として運用される際には、前面に大型の表示板を取り付けたが、1987年から表示板を挿入する表示板差しが設置された。1992年から1995年にかけて全車にスカートが設置され、この姿は消滅した。
B02 | 量産形/●黄色 |
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中央・総武緩行線の量産車の姿。中央・総武緩行線への新製投入は1982年から開始され、一部編成は中央快速線から転用された。1992年から1995年にかけて全車にスカートが設置され、この姿は消滅した。
B03 | 量産形/●青色 |
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京阪神緩行線の量産車の姿。同線には1982年12月から7両編成32本が投入された。1991年度にスカートが設置され、この姿は消滅した。
B11 | 量産形/●朱色 [東スカート] |
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スカート設置後の朱色の量産車の姿。1992年から1995年にかけてスカートが設置され、中央快速線や青梅・五日市線の車両がこの姿であった。
1992年から中央快速線の車両の1号車と10号車に電照式種別表示器が設置され、以降の中央快速線の車両では分割編成の6号車と7号車がこの姿だった。青梅・五日市線の車両は2000年から中央・総武緩行線の車両が転用されたもので、塗装変更や前面にステッカーが貼られていた。2010年までに撤退、廃車によりこの姿は消滅した。
B12 | 量産形/●黄色 [東スカート] |
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スカート設置後の中央・総武緩行線の量産車の姿。1992年から1995年にかけてスカートが設置された。2001年に同線から撤退し、京葉線や青梅・五日市線に転用された。
東中野列車追突事故の当該編成であったクハ201-3のみがこの姿で残存し、2005年12月まで保留車として存在した。同車の廃車により、この姿は消滅した。
B13 | 量産形/●青色 [東スカート] |
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京葉線の量産車の姿。2000年に中央・総武緩行線から転入した。2010年に同線から撤退し、廃車によりこの姿は消滅した。
B14 | 量産形/●旧四季彩 [東スカート] |
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2001年に改造された展望型電車「四季彩」の姿。豊田電車区の余剰車の内外装を更新し、青梅線に投入された。8月から「展望電車」として運行を開始し、11月に「四季彩」と命名された。同時に車体に季節の花のラッピングが追加された。2005年5月にリニューアルにより、この塗装は消滅した。
B15 | 量産形/●新四季彩 [東スカート] |
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「四季彩」のリニューアル後の姿。2001年に改造された展望電車「四季彩」は、2005年のリニューアルによって塗装が変更された。2009年に廃車され、この姿は消滅した。
B21 | 量産形/●朱色 [前面表示器] |
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電照式種別表示器を設置した中央快速線の量産車の姿。1992年に前面表示板に代わって、電照式種別表示器が設置された。初期に取り付けられた編成はスカート未装備であった。1992年から1995年にかけてスカートが設置され、この姿は消滅した。
B22 | 量産形/●朱色 [東スカート][前面表示器] |
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電照式種別表示器とスカートを設置した中央快速線の量産車の姿。1992年から1995年にかけて、電照式種別表示器とスカートが順次設置された。2010年までに引退し、現在はクハ201-1が豊田車両センターで保管されている。
B31 | 量産形/●青色 [西スカート] |
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スカート設置後の京阪神緩行線の量産車の姿。1991年度にスカートが設置された。2005年にスカートが強化形に変更され、この姿は消滅した。
B32 | 量産形/●青色 [西スカート][通風器撤去] |
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通風器撤去後の京阪神緩行線の量産車の姿。2002年から一部編成の通風器が撤去された。2005年にスカートが強化形に変更され、この姿は消滅した。
B33 | 量産形/●青色 [西スカート][体質改善] |
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体質改善工事後の京阪神緩行線の量産車の姿。2003年から体質改善工事が施工されている。雨樋や側窓、前照灯、内装が更新されている。2005年にスカートが強化形に変更され、この姿は消滅した。
B41 | 量産形/●青色 [西強化スカート] |
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強化形スカートの京阪神緩行線の量産車の姿。2005年に強化形スカートに変更された。2002年から通風器の撤去が進行したが、アカC3編成とC31編成は同線からの撤退まで施工されなかった。2007年までに同線から撤退し、体質改善工事を施工の上で他線に転用され、この姿は消滅した。
B42 | 量産形/●青色 [西強化スカート][通風器撤去] |
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強化形スカート改造後の京阪神緩行線の通風器撤去車の姿。2005年に強化形スカートに変更された。2007年までに同線から撤退し、体質改善工事を施工の上で他線に転用され、この姿は消滅した。
B51 | 量産形/●青色 [西強化スカート][体質改善] |
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強化形スカート改造後の青色の体質改善工事施工車の姿。2005年に強化形スカートに変更された。京阪神緩行線で2007年まで使用され、撤退後は大阪環状線に転用された。2005年に大阪環状線に最初に転入したモリ202編成は2008年まで青色で使用され、同編成の塗装変更により、この姿は消滅した。
B52 | 量産形/●朱色 [西強化スカート][体質改善] |
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大阪環状線の体質改善工事施工車の姿。2005年から2007年にかけて、8両編成16本が京阪神緩行線から転入した。2012年から行先表示器がLED式に変更され、この姿は消滅した。
B53 | 量産形/●関西線 [西強化スカート][体質改善] |
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関西線の体質改善工事施工車の姿。2006年から2007年にかけて、6両編成16本が京阪神緩行線から転入した。2012年から行先表示器がLED式に変更され、この姿は消滅した。
B61 | 量産形/●朱色 [西強化スカート][体質改善][LED] |
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LED式行先表示器に変更された大阪環状線の体質改善工事施工車の姿。2012年から行先表示器がLED式に変更された。2019年に同線から撤退し、この姿は消滅した。
B62 | 量産形/●関西線 [西強化スカート][体質改善][LED] |
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LED式行先表示器に変更された関西線の体質改善工事施工車の姿。2012年から行先表示器がLED式に変更された。現在もこの姿で使用されている。