国鉄123系

国鉄123系

《最終更新》 2017.09.27

1.概要

123系は手荷物・郵便輸送の廃止によって余剰となった荷物電車を改造し、国鉄が1986年から製造した近郊形直流電車である。単行運転ができる特性を生かし、ローカル線に投入された。中央本線辰野支線、身延線、阪和線、広島地区、下関地区を中心に活躍してきたが、現在は下関地区のみで運用されている。


2.外観の特徴

2.1.車体構造の差異

●前期形
クモハ123-1のみが該当する。種車はクモニ143形である。側窓はやや狭めの2段窓が9枚並び、戸袋には戸袋窓が設けられている。排障器が設置されている。冷房装置は搭載していない。

●中期形
クモハ123-2、-3、-4が該当する。種車はクモニ143形である。側窓は大型の上部内倒しの窓であり、戸袋窓が設けられている。排障器が設置されている。落成時からAU75冷房装置を搭載している。

●後期形
クモハ123-5、-6が該当する。種車はクモニ143形である。側窓は通勤形にみられるような2連の2段窓が2つ、単独の2段窓が1つ設けてあり、戸袋窓はない。側扉は両開きのものが車体中央と端部に2か所設けられている。前面には貫通扉、床下には排障器が設置されている。落成時からAU75冷房装置を搭載している。

●40番台
クモハ123-41、-42、-43、-44、-45が該当する。種車はクモユニ147形である。側窓は113系などに準じた標準幅の2段窓であり、戸袋窓はない。排障器は設置されていない。落成時は非冷房であった。

●600番台
クモハ123-601、-602が該当する。種車はクモヤ145形である。側窓は標準幅の2段窓であり、戸袋窓が設置されている。側扉は片開き扉が3箇所設けられている。排障器はない。落成時は非冷房であった。

2.2.改造による差異

123系では落成後に以下の改造が施され、外観に変化が生じている

●冷房化改造
非冷房車であった123系は冷房改造が施された。JR東日本が保有したクモハ123-1は1993年7月にAU713冷房装置により冷房化された。JR東海が保有した車両は1988年以降にAU711冷房装置により冷房化され、5040番台に改番された。

●前面貫通扉の設置
JR西日本は連結運転を行うが非貫通であった、クモハ123-2、-3、-4を対象に前面貫通扉を設置した。1993年11月にクモハ123-2に対して施工され、順次施工された。また、JR東海は1990年にクモハ123-5045に対して貫通扉を設置した。改造後はクモハ123-5145に改番されている。

●側扉の移設
JR西日本は2002年にクモハ123-5、-6の側扉の配置を変更した。下関総合車両所への転属にあわせて施工された。

2.3.塗装の差異

旧ミニエコー色
中央本線辰野支線に投入されたクモハ123-1の落成当時の塗装。白をベースに濃緑の帯である。1990年のワンマン化改造時に同車の塗装変更により消滅した。


長野総合車両センター クモハ123-1新ミニエコー色
1990年1月以降のクモハ123-1の塗装。ワンマン化と同時に白をベースに赤色の塗装に変更された。引退までこの塗装で使用された。


身延色
身延線に投入された車両(のちにJR東海が承継する)に施された塗装。白をベースに赤帯の塗装である。民営化後に東海塗装に変更され、消滅した。


東海色
JR東海の車両に施された塗装。白をベースに湘南色(オレンジと緑)の帯を配した塗装である。103系、119系、キハ40系など多くの車両に施されていた。123系では1989年4月にクモハ123-41に施されたのが最初である。以降、JR東海の保有車はこの塗装に統一されている。引退までこの塗装で使用された。


広島色(初期)
広島地区に投入された車両に施された塗装。クモハ123-2、-3、-4がこの塗装で落成された。ところが、1987年9月頃に前面窓まわりも青色に塗装され、この塗装は消滅した。登場直後のごく短期間のみ見られた塗装であった。


下関総合車両所 クモハ123-3広島色
広島地区の車両に施されていた塗装。登場時の広島色(初期)とは異なり、前面窓まわりは青色で塗装されている。後に下関地区へ転用されたが、2010年の単色化までこの塗装のまま使用されていた。


阪和色
阪和線羽衣支線に投入されたクモハ123-5、-6に施された塗装。車体色はスカイブルー(青22号)であり、前面窓まわりは黒色で塗装されている。1995年6月、岡山電車区への転属にあわせて車体塗装を変更、この塗装は消滅した。


宇野色
主に宇野線で運用された岡山電車区の車両(クモハ123-5、-6)に施された塗装。マリンブルーをベースに白いカモメが描かれている。1995年6月の転入にあわせてこの塗装に変更された。2002年に2両とも下関総合車両所に転出し、この塗装は消滅した。


下関総合車両所 クモハ123-5中国地域色
JR西日本の単色化により、下関総合車両所の車両に施されている塗装。2010年5月にクモハ123-4に初めて施され、2015年8月にクモハ123-6の塗装変更を以って、123系の単色化が完了した。現在は123系の配置が下関に集約されているため、JR西日本が保有する車両はすべてこの塗装に統一されている。


3.特徴マトリックス図

 
 

旧ミニエコー
新ミニエコー
広島色(初期)
広島色
阪和色
宇野色
中国地域
身延色
東海色
前期形 中期形 後期形 40番台 600番台  
AU713
貫通扉
側扉移設
AU711
AU711
貫通扉
AU711
 
A01  
A02 A03  
B01
B02 B03 C03  
C01  
C02  
B04 C04  
D01 E01  
D02 D03 D04 E02 E03  

4.バリエーション一覧

No.
現状
特徴

5.各バリエーション解説

A01 前期形/旧ミニエコー色

中央本線辰野支線に投入されたクモハ123-1の落成当時の姿。1990年にワンマン化改造を受け、塗装変更により消滅した。

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A02 前期形/新ミニエコー色

中央本線辰野支線のクモハ123-1のワンマン化改造後の姿。1993年に冷房装置を搭載し、この姿は消滅した。

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A03 前期形/新ミニエコー色 [AU713冷房]

中央本線辰野支線のクモハ123-1の冷房化後の姿。2013年3月の引退までこの姿で活躍した。

長野総合車両センター クモハ123-1
長野総合車両センター クモハ123-1
撮影場所 松本駅   撮影日 2009.04.26
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B01 中期形/広島色(初期)

可部線に投入されたクモハ123-2、-3、-4の登場時の姿。現在の広島色とは違い、窓回りが白塗装絵あった。1987年9月頃に前面窓まわりも青色に塗装され、現在の広島色となり、この姿は消滅した。

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B02 中期形/広島色

1987年9月以降のクモハ123-2、-3、-4の姿。1993年に貫通扉を設置したことでこの姿は消滅した。

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B03 中期形/広島色 [貫通扉設置]

1993年以降のクモハ123-2、-3、-4の姿。下関に転属し、105系との併結運転を開始したため、1993年に貫通扉を設置した。2010年に単色化が開始され、2015年6月までにこの姿は消滅した。

下関総合車両所 クモハ123-3
下関総合車両所 クモハ123-3
撮影場所 新山口駅   撮影日 2015.03.25
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B04 中期形/中国地域色 [貫通扉設置]

単色化後のクモハ123-2、-3、-4の姿。塗装変更は2010年5月にクモハ123-4から開始され、2015年6月にクモハ123-3の塗装変更を以って完了した。以降、0番台(中期形)は全車がこの姿で活躍している。

下関総合車両所 クモハ123-2
下関総合車両所 クモハ123-2
撮影場所 宇部駅   撮影日 2015.03.25
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C01 後期形/阪和色

阪和線羽衣支線に投入されたクモハ123-5、-6の登場時の姿。1995年6月、岡山電車区への転属に伴う塗装変更により、この姿は消滅した。

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C02 後期形/宇野色

1995年6月の岡山転属後のクモハ123-5、-6の姿。2002年に2両ともに下関総合車両所に転出し、この姿は消滅した。

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C03 後期形/広島色 [側扉移設]

2002年の下関転属後のクモハ123-5、-6の姿。転属と同時に側扉が移設され、車内レイアウトが変更されている。2015年に単色化され、この姿は消滅した。

下関総合車両所 クモハ123-6
下関総合車両所 クモハ123-6
撮影場所 新山口駅   撮影日 2015.03.25
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C04 後期形/中国地域色 [側扉移設]

2015年の単色化後のクモハ123-5、-6の姿。現在もこの姿で活躍している。

下関総合車両所 クモハ123-5
下関総合車両所 クモハ123-5
撮影場所 小野田駅   撮影日 2015.03.25
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D01 40番台/身延色

身延線に投入されたクモハ123-40~-45の登場時の姿。1989年に塗装変更により、この姿は消滅した。

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D02 40番台/東海色

身延線のクモハ123-40~-45の1989年以降の姿。JR東海では1988年から123系の冷房化が開始されていたため、冷房化までのごく短期間のみ見られた姿である。

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D03 40番台/東海色 [AU711冷房]

冷房化後のクモハ123-40~-45の姿。冷房化により車番はクモハ123-5041~-5045に変更されている。1990年に貫通扉が設置されたクモハ123-5045を除き、2007年の引退までこの姿で使用された。

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D04 40番台/東海色 [AU711冷房][貫通扉設置]

1990年に貫通扉が設置されたクモハ123-5045の姿。車番は改造と同時にクモハ123-5145に変更されている。2007年の引退までこの姿で使用された。

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E01 600番台/身延色

1988年3月に身延線に投入されたクモハ123-601、-602の登場時の姿。1988年12月の冷房化によりこの姿は消滅した。

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E02 600番台/身延色 [AU711冷房]

1988年12月の冷房化後のクモハ123-601、-602の姿。塗装変更により消滅した。

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E03 600番台/東海色 [AU711冷房]

塗装変更後のクモハ123-601、-602の姿。2007年の引退までこの姿で活躍した。

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