国鉄119系
1. 概要
119系は国鉄が1982年から製造した近郊形直流電車である。飯田線で使用されていた旧型電車の置き換えを目的として、57両(クモハ119-1~-33、クハ118-1~-24)が投入された。1987年から1988年にかけてクモハ119形の一部が両運転台に改造(クモハ119-101~-109)され、1両編成での運行が可能となった。また、民営化後は全車両がJR東海に承継された。
1986年に一部が静岡地区に転用され、「するがシャトル」として使用されたが、1989年で運用を終了し、全編成が飯田線に復帰した。2011年から老朽化に伴う置き換えが進行し、2012年3月をもって飯田線から撤退した。全車両が廃車され、一部はえちぜん鉄道に譲渡された。
2. 外観の特徴
2.1. 改造による差異
製造時に差異は存在しなかった。以下、改造により生じた差異である。
●冷房化改造
製造時は全車が非冷房であったが、1986年から冷房化改造が開始された。集中方式のAU75冷房装置(画像奥)を搭載する車両と分散方式のC-AU711(画像手前・以下、AU711とする)を搭載する車両が存在する。
AU75を搭載する車両は1986年から1987年に改造され、「するがシャトル」に使用される編成が対象であった。
AU711を搭載する車両は1989年から1991年に改造され、冷房を搭載していなかった車両の全車に施工された。AU711を搭載した車両は同時に5000番台に区分された。
●ワンマン対応改造
1999年から一部編成にワンマン対応改造が施された。ワンマン機器搭載のほか、ドアボタン設置に伴い、一部の戸袋窓が撤去されていることが特徴である。
※両運転台化改造
1987年から1988年にかけてクモハ119形の9両が両運転台に改造された。後位に既存の運転台と同様の運転台を新設したもので、外観に大きな差異はない。改造にあわせて100番台に区分され、クモハ119-101~-109になった。
注)この特徴は以下のバリエーションに反映していない。
2.2. 塗装の差異
119系には以下の塗装が存在した。
●国鉄色
全車両の製造時の塗装。飯田線の専用塗装であり、水色をベースに白色の帯テープを張り付けたものであった。1990年頃までに東海色に変更されて消滅した。
2009年8月には佐久間レールパーク閉園を記念して、カキE4編成がこの塗装に変更されていた。
●するが色
東海道本線静岡地区の「するがシャトル」に使用された車両の塗装。1986年に2両編成8本が静岡地区に転用され、この塗装に変更された。
1989年に東海道本線から撤退した後は飯田線で使用されたが、1990年12月までに東海色に変更された。
●東海色
民営化後の塗装。企業イメージ統一のために1988年から導入された。白ベースに窓下にオレンジと緑の帯をまいている。後に全車がこの塗装に統一された。
●東海試験色
東海色の試験塗装として採用された塗装。1988年にクモハ119-27とクハ118-19に施された。
白色をベースに211系に準じた帯テープを使用していた。東海色と比べ、前面帯が太く、窓上にオレンジの帯がまかれていることが特徴であった。後に東海色に変更された。
3. 特徴マトリックス図
4.バリエーション一覧
No.
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現状
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特徴 |
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A01 | 消滅 | ●国鉄色 |
A02 | 消滅 | ●するが色 |
A03 | 消滅 | ●東海色 |
B01 | 消滅 | ●するが色 [AU75] |
B02 | 消滅 | ●東海色 [AU75] |
B03 | 消滅 | ●東海試験色 [AU75] |
C01 | 消滅 | ●東海色 [AU711] |
C02 | 消滅 | ●国鉄色 [AU711] |
D01 | 消滅 | ●東海色 [AU711][ワンマン対応] |
5. 各バリエーション解説
A02 | ●するが色 |
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東海道本線静岡地区の「するがシャトル」に使用された車両の姿。1986年に2両編成8本が転用され、この塗装に変更された。同時にAU75冷房装置による冷房化改造が行われたが、一部編成は未施工のまま投入された。翌1987年までに冷房化され、この姿は消滅した。
A03 | ●東海色 |
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民営化後の塗装変更後の姿。1988年からJR東海の標準塗装に変更された。塗装変更は冷房化改造と同時に行われたが、一部編成はシスI15編成のみ非冷房のまま塗装変更が行われた。1991年に冷房化され、この姿は消滅した。
B01 | ●するが色 [AU75] |
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「するがシャトル」に使用された車両の姿。塗装変更と同時にAU75冷房装置による冷房化改造が行われた。1989年に「するがシャトル」から撤退し、飯田線で使用された。1990年までにJR東海の標準塗装に変更され、この姿は消滅した。
B02 | ●東海色 [AU75] |
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AU75冷房装置搭載車の塗装変更後の姿。1988年からJR東海の標準塗装に変更された。元「するがシャトル」で使用された編成はAU75冷房装置を搭載していた。2012年までに廃車され、この姿は消滅した。
B03 | ●東海試験色 [AU75] |
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東海試験色が施された編成の姿。1988年からJR東海の標準塗装に変更されたが、シスSS7編成のみ異なる姿であった。211系に準じた帯テープを使用していた。「するがシャトル」で使用された後、シスI23編成として飯田線で使用された。後に標準の東海色に変更され、この姿は消滅した。
C01 | ●東海色 [AU711] |
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AU711冷房装置を搭載する車両の姿。1989年から飯田線の車両の冷房化が行われ、AU711冷房装置が搭載された。同時に塗装変更が行われ、この姿になった。2012年までに廃車され、この姿は消滅した。
C02 | ●国鉄色 [AU711] |
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登場時の塗装に変更されたAU711冷房装置搭載車の姿。2009年8月にカキE4編成が佐久間レールパークの閉園を記念し、登場時の塗装に変更された。冷房化後に登場時の塗装を施した編成は唯一であった。2012年に廃車され、この姿は消滅した。
D01 | ●東海色 [AU711][ワンマン対応] |
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ワンマン対応改造が施された車両の姿。1999年からワンマン対応改造が施され、2両編成8本が存在した。2012年までに廃車され、この姿は消滅した。