国鉄119系

国鉄119系

《最終更新》 2017.08.09

1. 概要

119系は国鉄が1982年から製造した近郊形直流電車である。飯田線で使用されていた旧型電車の置き換えを目的として、57両(クモハ119-1~-33、クハ118-1~-24)が投入された。1987年から1988年にかけてクモハ119形の一部が両運転台に改造(クモハ119-101~-109)され、1両編成での運行が可能となった。また、民営化後は全車両がJR東海に承継された。

1986年に一部が静岡地区に転用され、「するがシャトル」として使用されたが、1989年で運用を終了し、全編成が飯田線に復帰した。2011年から老朽化に伴う置き換えが進行し、2012年3月をもって飯田線から撤退した。全車両が廃車され、一部はえちぜん鉄道に譲渡された。


2. 外観の特徴

2.1. 改造による差異

製造時に差異は存在しなかった。以下、改造により生じた差異である。

119系冷房●冷房化改造
製造時は全車が非冷房であったが、1986年から冷房化改造が開始された。集中方式のAU75冷房装置(画像奥)を搭載する車両と分散方式のC-AU711(画像手前・以下、AU711とする)を搭載する車両が存在する。

AU75を搭載する車両は1986年から1987年に改造され、「するがシャトル」に使用される編成が対象であった。

AU711を搭載する車両は1989年から1991年に改造され、冷房を搭載していなかった車両の全車に施工された。AU711を搭載した車両は同時に5000番台に区分された。


119系5300番台●ワンマン対応改造
1999年から一部編成にワンマン対応改造が施された。ワンマン機器搭載のほか、ドアボタン設置に伴い、一部の戸袋窓が撤去されていることが特徴である。


119系5300番台※両運転台化改造
1987年から1988年にかけてクモハ119形の9両が両運転台に改造された。後位に既存の運転台と同様の運転台を新設したもので、外観に大きな差異はない。改造にあわせて100番台に区分され、クモハ119-101~-109になった。

注)この特徴は以下のバリエーションに反映していない。


2.2. 塗装の差異

119系には以下の塗装が存在した。

国鉄色国鉄色
全車両の製造時の塗装。飯田線の専用塗装であり、水色をベースに白色の帯テープを張り付けたものであった。1990年頃までに東海色に変更されて消滅した。

2009年8月には佐久間レールパーク閉園を記念して、カキE4編成がこの塗装に変更されていた。


するが色するが色
東海道本線静岡地区の「するがシャトル」に使用された車両の塗装。1986年に2両編成8本が静岡地区に転用され、この塗装に変更された。

1989年に東海道本線から撤退した後は飯田線で使用されたが、1990年12月までに東海色に変更された。


東海色東海色
民営化後の塗装。企業イメージ統一のために1988年から導入された。白ベースに窓下にオレンジと緑の帯をまいている。後に全車がこの塗装に統一された。


119系東海試験色東海試験色
東海色の試験塗装として採用された塗装。1988年にクモハ119-27とクハ118-19に施された。

白色をベースに211系に準じた帯テープを使用していた。東海色と比べ、前面帯が太く、窓上にオレンジの帯がまかれていることが特徴であった。後に東海色に変更された。


3. 特徴マトリックス図

 
 
国鉄色
するが色
東海色
東海試験色
AU75
AU711
AU711
 
      ワンマン改造  
A01 C02
A02 B01
A03 B02 C01 D01
B03

4.バリエーション一覧

No.
現状
特徴

5. 各バリエーション解説

A01 国鉄色

製造時の姿。全車両がこの姿で製造された。1990年頃に塗装変更され、この姿は消滅した。

静岡運転所 シスI11編成
静岡運転所 シスI11編成
撮影日 CGによる再現(2019.09作成)
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A02 するが色

東海道本線静岡地区の「するがシャトル」に使用された車両の姿。1986年に2両編成8本が転用され、この塗装に変更された。同時にAU75冷房装置による冷房化改造が行われたが、一部編成は未施工のまま投入された。翌1987年までに冷房化され、この姿は消滅した。

静岡運転所 シスSS5編成
静岡運転所 シスSS5編成
撮影日 CGによる再現(2019.09作成)
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A03 東海色

民営化後の塗装変更後の姿。1988年からJR東海の標準塗装に変更された。塗装変更は冷房化改造と同時に行われたが、一部編成はシスI15編成のみ非冷房のまま塗装変更が行われた。1991年に冷房化され、この姿は消滅した。

静岡運転所 シスI15編成
静岡運転所 シスI15編成
撮影日 CGによる再現(2019.09作成)
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B01 するが色 [AU75]

「するがシャトル」に使用された車両の姿。塗装変更と同時にAU75冷房装置による冷房化改造が行われた。1989年に「するがシャトル」から撤退し、飯田線で使用された。1990年までにJR東海の標準塗装に変更され、この姿は消滅した。

静岡運転所 シスSS7編成
静岡運転所 シスSS7編成
撮影日 CGによる再現(2019.09作成)
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B02 東海色 [AU75]

AU75冷房装置搭載車の塗装変更後の姿。1988年からJR東海の標準塗装に変更された。元「するがシャトル」で使用された編成はAU75冷房装置を搭載していた。2012年までに廃車され、この姿は消滅した。

大垣車両区 カキE14編成
大垣車両区 カキE14編成
撮影場所 豊橋~船町   撮影日 2008.04.19
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B03 東海試験色 [AU75]

東海試験色が施された編成の姿。1988年からJR東海の標準塗装に変更されたが、シスSS7編成のみ異なる姿であった。211系に準じた帯テープを使用していた。「するがシャトル」で使用された後、シスI23編成として飯田線で使用された。後に標準の東海色に変更され、この姿は消滅した。

静岡運転所 シスI23編成
静岡運転所 シスI23編成
撮影日 CGによる再現(2019.09作成)
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C01 東海色 [AU711]

AU711冷房装置を搭載する車両の姿。1989年から飯田線の車両の冷房化が行われ、AU711冷房装置が搭載された。同時に塗装変更が行われ、この姿になった。2012年までに廃車され、この姿は消滅した。

大垣車両区 カキE4編成
大垣車両区 カキE4編成
撮影場所 中部天竜駅   撮影日 2009.04.25
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C02 国鉄色 [AU711]

登場時の塗装に変更されたAU711冷房装置搭載車の姿。2009年8月にカキE4編成が佐久間レールパークの閉園を記念し、登場時の塗装に変更された。冷房化後に登場時の塗装を施した編成は唯一であった。2012年に廃車され、この姿は消滅した。

大垣車両区 カキE4編成
大垣車両区 カキE4編成
撮影場所 豊川駅   撮影日 2009.08.28
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D01 東海色 [AU711][ワンマン対応]

ワンマン対応改造が施された車両の姿。1999年からワンマン対応改造が施され、2両編成8本が存在した。2012年までに廃車され、この姿は消滅した。

大垣車両区 カキR1編成
大垣車両区 カキR1編成
撮影日 CGによる再現(2019.09作成)
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